【プロジェクト担当者必見】ラボ型開発とは?仕組み、メリット・デメリット、請負契約との違い

2026年2月13日 by
【プロジェクト担当者必見】ラボ型開発とは?仕組み、メリット・デメリット、請負契約との違い
RIKAIコラム編集部

受託開発において「急な仕様変更に対応できず、プロジェクトが停滞してしまう」といった悩みを抱える担当者は少なくありません。優秀なエンジニアを中長期的に確保したいものの、採用コストやリソースの維持に頭を悩ませるケースも多いでしょう。

本記事では、柔軟な体制構築を可能にする「ラボ型開発」の定義から、他の契約形態との違い、自社に合うかどうかの判断基準までを網羅的に解説します。

仕組みを正しく理解して、自社の開発環境に最適な選択肢を見極めていきましょう。


ラボ型開発(ODC)の仕組みとは?準委任契約との関係性


ラボ型開発がどのような仕組みで成り立っているのか、その基本的な概念と注目される理由を紐解いていきます。


ラボ型開発の基本定義

ラボ型開発とは、一定期間において発注者専用の専属開発チームを外部に構築する形態です。正式にはODC(Offshore Development Center)と呼ばれます。

派遣やSESと異なり、特定のプロジェクトのために編成された「チーム」を丸ごと確保する点が特徴です。

期間中はメンバーが固定されるため、知見が蓄積されやすい利点があります。


ラボ型開発と「準委任契約」の関係

契約形態は「準委任契約」を選ぶのが一般的です。これは成果物の完成をゴールとするのではなく、提供した労働時間やエンジニアのスキルに対して対価を支払う仕組みを指します。

開発側には「専門家として誠実に業務を遂行する義務(善管注意義務)」がありますが、納品後の不具合を無償で直すといった「完成後の保証責任(契約不適合責任)」までは原則として負いません。

精算は「単価 × 人数 × 期間」による月額固定制のため、予算管理が非常にスムーズに進む点も大きなメリットです。


なぜ注目されているのか?アジャイル開発との親和性

仕様変更に強い開発スタイルとして需要が高まっています。一度にすべてを作らず、小さな単位で開発とリリースを繰り返すアジャイル開発との相性が抜群だからです。専属チームが継続的に並走するため、市場環境の変化に応じた柔軟な方向転換が可能です。

変化の激しい現代のビジネスシーンにおいて、この柔軟性は大きな武器となります。


主な開発拠点(オフショア・国内ラボ)の違い

拠点は大きく分けて海外の「オフショア」と「国内(ニアショア含む)」の2種類が存在します。

比較項目

オフショア(海外)ラボ

国内ラボ(都市部・地方)

主な目的

コスト削減

大量のリソース確保

品質の安定

円滑な連携

即戦力

主な拠点

ベトナム、フィリピン、インド等

東京、札幌、福岡、沖縄など

コスト(人月)

日本の約1/2〜2/3程度

標準〜やや安め(地方の場合)

言語・文化

外国語(またはBrSE経由の日本語)

日本語(共通言語・共通認識)

時差

1〜2時間程度(アジア圏の場合)

なし

向いている案件

大規模開発

継続的な保守・運用

新規事業のプロトタイプ

複雑な仕様

オフショアはコストメリットが大きく、国内ラボは円滑なコミュニケーションが可能です。


ラボ型開発と「請負契約」「SES」との決定的な違い


他の契約形態との違いを明確にすることで、自社のプロジェクトに最適な手法を選択できるようになります。


請負契約との違い

請負契約は「成果物の完成」を目的としており、設計通りの納品に対して対価が発生します。一方、ラボ型開発は「プロセスの並走」が目的であり、期間内であれば柔軟にタスクを入れ替えられます。

請負は仕様変更のたびに見積もりが必要ですが、ラボ型は契約の枠内で即座に対応可能です。ただし、未完成のリスクは発注側が負うことになります。


SES(客員常駐)との違い

SESは主に個人単位での契約であり、要員の入れ替わりが発生しやすく知識が属人化するリスクがあります。ラボ型開発は「チーム単位」でメンバーを固定するため、プロジェクトの背景や業務知識が組織全体に蓄積されます。

契約期間が長くなるほどチームとしての習熟度が向上し、開発スピードと精度が加速度的に高まっていく点が大きな違いです。


コスト・柔軟性・管理工数の比較

ラボ型は仕様が流動的な新規事業や、半年以上の継続開発が見込まれるケースに最適です。対して、要件が完全に固まり予算を確定させたい場合は請負契約が適しています。また、特定の技術者が1名だけ足りないといったスポットの補填にはSESが効率的です。

プロジェクトのフェーズや目的、自社の管理体制に合わせて使い分けましょう。


ラボ型開発を導入するメリット


ラボ型開発を導入することで、コスト効率と開発スピードの両面で大きな恩恵を受けることが可能です。


【メリット1】優秀な人材を一定期間確保できる

長期スパンで見ると、他の形態よりも圧倒的に高いコスト効率を発揮します。特にオフショア活用により、国内の同スキル層より30%〜50%程度低いコストで人材確保が可能です。

毎月の支払額が人月単価で固定されているため、突発的な追加見積もりに怯える必要もありません。安定したリソース確保により、中長期的な投資判断が容易になります。


【メリット2】仕様変更や追加開発に柔軟に対応できる

競合の動向に応じた優先順位の変更にも、契約変更なしで即座に対応できます。請負開発で発生しがちな「見積もり・承認・着手」という数週間のタイムロスを完全に排除可能です。

専属チームが常に待機しているため、現場の判断でリソースを再配分できる柔軟性は、スピードが求められる現代のソフトウェア開発において利点となります。


【メリット3】システム開発のノウハウが蓄積される

専属チームが活動を続けることで、エンジニアが自社のビジネスを深く理解し、内製部署のように機能し始めます。時間を共にするほど意図を汲み取る精度が上がり、指示が曖昧でも高品質なアウトプットを期待できるようになります。

開発プロセスが自社向けに最適化されるため、将来的に内製化へ移行する場合もスムーズな技術承継が可能です。


ラボ型開発を導入するデメリット


メリットが多い一方で、特有の注意点やコスト面でのリスクも正しく理解しておく必要があります。


【デメリット1】固定費になる

発注側には、チームを稼働させ続ける責任が伴います。ラボ型開発は期間契約のため、開発タスクが途切れても月額費用が発生し続けるからです。自社側のディレクション遅延でエンジニアが待機状態になっても全額支払わなければなりません。

リソースを遊ばせないよう、常にバックログを整理して継続的にタスクを供給し続ける体制が不可欠です。


【デメリット2】チームビルディングに時間がかかる

海外拠点を利用する場合、言語や文化の壁が初期のハードルとなります。日本の商習慣とは異なる文化に慣れるまでは意思疎通に労力がかかり、精神的なストレスを感じる場面もあるでしょう。「使いやすくして」といった抽象的な指示は通用しません。

明確な言語化と丁寧なコミュニケーションを心がけ、相互理解を深める時間が必要になります。


【デメリット3】発注側がマネジメントする必要がある

請負とは異なり、ベンダーへ開発を「丸投げ」することはできません。何を作るか、優先順位はどうするかといった舵取りは自社で行う必要があります。発注側にも高いPMスキルが求められるため、技術知見が不足している場合は注意が必要です。

その際は、マネジメントを代行できるブリッジSEやPMを含めた契約形態を検討してください。


ラボ型開発で失敗しないための成功のポイント

ラボ型開発を成功に導くためには、事前の準備と継続的なパフォーマンス管理が不可欠です。


優秀なブリッジSE(BrSE)の選定

成否の8割はブリッジSE(BrSE)の質で決まります。BrSEには日本語能力に加え、日本の品質基準や納期意識を現地に正しく伝える翻訳能力が必要です。仕様の矛盾を指摘し、解決策を提案できる技術力があるかを確認しましょう。

契約時にその人物が自社プロジェクトへ専属で関与できるかを確認することが、連携トラブルを防ぐ鍵となります。


スモールスタートによる信頼関係の構築

最初から大規模チームを組まず、少数精鋭からスタートするのが成功の秘訣です。PM1名と数名のエンジニアで始め、仕事の進め方やコミュニケーションのクセを把握します。

小さな成果を積み重ねて信頼関係を築き、連携がスムーズになった段階で徐々に増員しましょう。このステップを踏むことで、初期段階のミスマッチのリスクを最小化できます。


KPIの設定と定期的なパフォーマンス評価

労働時間への支払いだからこそ、アウトプットを客観的に評価する仕組みが重要です。ベロシティやバグ発生率などの指標を数値化して追跡しましょう。アジャイルの手法を取り入れ、週に一度はチーム全体で課題を振り返る場を設けてください。

定量的な評価を継続することで、時間報酬型であってもチームの生産性を高く維持することが可能です。


コミュニケーションツールの活用と情報共有の徹底

チャットツールを活用し、細かな確認が即座に行える環境を整えることが大切です。仕様書や判断の経緯はWikiツールなどに集約して、特定の担当者しか詳細を知らない「情報の属人化」を防ぎましょう。

また、テキストだけでは伝わりにくいニュアンスを補うため、毎日の「短時間のミーティング」で顔を合わせて話す習慣を取り入れてみてください。

たとえ10分程度の会話でも、毎日継続するだけで心理的な距離が縮まり、深刻なトラブルの防止につながります。


パートナー企業選びのチェックポイント

成功はパートナー選びで決まります。自社の技術スタックでの運営実績があるか、セキュリティ体制は万全かを必ず確認しましょう。PマークやISMSの取得状況に加え、優秀な人材を育てる教育制度の有無も重要です。

長期的に安定したチーム運営が期待できる会社であれば、ビジネスの変化に共に立ち向かう強力なパートナーとなります。


まとめ

ラボ型開発は、柔軟な開発体制とコスト削減を両立させる強力な手法です。

中長期的なプロジェクトやアジャイル開発に取り組みたい企業にとって、専属チームの確保は競争優位性につながります。メリット・デメリットを正しく理解し、自社に最適なパートナーを選びましょう。




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