ベトナムオフショア開発の費用相場とメリット・デメリット|失敗しない会社選びのポイントまで徹底解説

2026年3月11日 by
ベトナムオフショア開発の費用相場とメリット・デメリット|失敗しない会社選びのポイントまで徹底解説
RIKAIコラム編集部

「システム開発のコストを抑えたいけれど、品質は妥協したくない」という悩みを持つ企業は少なくありません。国内のエンジニア不足が深刻化するなか、有力な選択肢として浮上するのがベトナムでのオフショア開発です。

しかし、安さだけで選んでしまい、コミュニケーションの齟齬や納期遅延で失敗するケースも後を絶ちません。現在のベトナムは単なる「安価な労働力」ではなく、高度な技術力を備えたパートナーへと進化しています。

本記事では、最新の費用相場からオフショア開発のメリット・デメリットに加え、重要となる会社選びのポイントまでを詳しく解説します。ベトナムオフショア開発を成功させるための具体的なロードマップを描くために、ぜひ参考にしてください。


ベトナムオフショア開発の費用相場

ベトナムでのオフショア開発を検討するにあたり、まずは最新の費用相場を正確に把握しましょう。他国との比較や都市ごとの特性を知ることで、自社に最適な発注先を見極める判断材料になります。


42%の企業がベトナムをオフショア先を希望

オフショア開発白書(2024年版)』の調査によると、42%もの企業がオフショア先としてベトナムを第一候補に挙げています。

その背景には、親日的な国民性や日本との地理的な近さ、さらには他国と比較して依然として安価なコスト水準があります。真面目で勤勉なエンジニアが多く、日本の品質基準に適応しやすい点も、多くの日本企業から支持される大きな要因となっています。


職種別の平均人月単価(プログラマー・システムエンジニア・ブリッジSE・PM)

ベトナムのエンジニアの職種別単価相場について表にまとめました。エンジニア単価は、経済成長や他国企業による人材争奪戦の影響で上昇傾向です。その上昇率もまとめたので、参考にしてください。

職種

単価相場(万円/月)

上昇率(前年比)

プログラマー

39.4〜40.2

+20.0%〜+26.8%

シニアエンジニア

48.3〜49.1

+18.7%〜+23.2%

ブリッジSE

57.7〜59.0

+12.4%〜+50.0%(高度案件)

PM

70.0〜79.4

+7.4%〜+37.0%

人件費上場の背景は、経済全体の成長に伴う生活水準の向上と、欧米・韓国・シンガポール企業による優秀な人材の囲い込みがあります。特にデータサイエンスなどの先端分野を扱える人材は、前年比で1.5倍ほど単価が跳ね上がるケースも珍しくありません。※2026年時点では、さらに10%〜15%の予備費を見込むのが安全です。

参照:オフショア開発白書(2024年版)


都市別の費用比較と地域特性

開発拠点を選ぶためには、都市ごとの費用相場や人材の特性を考慮しましょう。首都ハノイは教育機関が集積しており、経済の中心地であるホーチミンは最新技術に強いなど、都市によって得意分野が異なります。3都市の特徴を表にまとめました。


項目

ハノイ

ホーチミン

ダナン

費用相場

基準

ハノイより5〜10%高い

3都市で最も安価

人材の特性

学術的、勤勉

実践的、国際的

素朴、真面目

日本語能力

日本語学習者が極めて多い

英語能力が高い傾向

日本語教育が加速中

得意分野

金融、AI、基幹系

アプリ、EC

ニアショア、コスト重視

ハノイは日本語教育が盛んでブリッジSEを確保しやすく、ホーチミンはアジャイル手法などに精通した層が厚いといった特徴があります。一方のダナンは、コストを抑えつつ安定したチームを構築したい企業に適しています。


「ラボ型」と「請負型」の費用比較

オフショア開発には、主に「請負型」と「ラボ型」の2種類の契約形態が存在します。近年はDX支援やAI実装など、要件が柔軟に変化するプロジェクトが増えているため、機動力の高いラボ型を選択する企業が増えています。


費用

メリット

デメリット

請負型

仕様書に基づいた

一括見積

  • 予算が確定している
  • 開発会社が責任を負う
  • 要件変更に弱い
  • 変更のたびに追加コストが発生

ラボ型

エンジニア1人単価

×

人数

×

月額

  • 専属チームとしてノウハウが蓄積される
  • 仕様変更に柔軟
  • 長期的には請負型よりもコスパがいい
  • 開発が進まなくても費用が発生
  • マネジメントが必要

今後は、信頼できるパートナーと中長期的な体制を築くラボ型開発が、最終的なトータルコストを抑制する鍵となりそうです。


人件費以外のコストを左右する3つの要因

開発コストを算出する際は、エンジニアの給与だけでなく、現地のインフラコストにも注目すべきです。人件費以外にコストを左右する要因は以下の3つです。

  1. オフィス賃料
  2. 電気代
  3. データセンター運用
  4. 円安リスク

ベトナムは電気代がインドの4分の3程度であり、データセンターの運用コストも周辺諸国に比べて低く抑えられています。また、ハノイ市では2026年にかけて新築オフィスの供給が増える見込みとなっており、賃料の安定が期待されます。

これらの環境要因は、開発会社の維持費やサービス価格に直結する重要な要素のため、隠れたコストとして認識しておきましょう。


H3:他国(中国・インド・フィリピン)との比較

他国と比較すると、ベトナムは依然としてコストパフォーマンスの面で優位性を保っています。インドは平均単価が最も高く、フィリピンは欧米向けの開発が主流です。

平均人月単価

(万円)

プログラマー

システムエンジニア

ブリッジSE

PM

ベトナム

39.4

48.3

59.0

70.0

中国

44.4

58.3

65.0

75.3

インド

53.3

61.7

69.2

77.5

フィリピン

43

55.5

73.6

78.2

参照:オフショア開発白書(2024年版)より

2026年現在、生成AIを導入して工数を削減する開発スタイルが主流となっており、単純な人月単価だけでなく『AI活用による生産性』で会社を比較することが重要です。

中国は都市部での単価高騰が激しく、コミュニケーションコストを含めた総合的な判断ではベトナムに軍配が上がる場面が増えています。


ベトナムオフショア開発のメリット

ベトナムがオフショア先として選ばれる理由は、単なる費用の安さだけではありません。豊富な若手リソースや国を挙げたIT教育など、開発を成功させるための土壌が整っている点にあります。ベトナムにおけるオフショア開発のメリットを4つ紹介します。


豊富な若手ITリソース

ベトナムには2024年時点で約56万人のソフトウェア開発者が存在しており、毎年6万人近いIT専攻の卒業生が誕生しています。多くの大学が日本と連携した教育プログラムを提供しており、ハノイ工科大学などのトップ校からは優秀な人材が絶えず供給されています。若くて意欲的なエンジニアを確保しやすい環境は、長期的なプロジェクトを維持するうえで大きな強みとなります。


政府を挙げたIT教育の強化

ベトナム政府はデジタル経済への移行を国家戦略として掲げており、IT企業への税制優遇やハイテクパークの整備を強力に推進しています。大学教育においても、実務に即したプログラミング教育やAI分野の研究に力が入れられており、即戦力となる人材の育成が進んでいます。

国を挙げてIT産業を支援する姿勢があるため、インフラの整備や法的保護の面でも安心して発注できる環境が整っています。


国民性が真面目で日本企業の文化に馴染みやすい

ベトナム人は非常に向上心が強く、任されたタスクを最後まで完遂しようとする責任感を持っています。儒教や仏教の影響もあり、チームワークや目上の人を敬う姿勢が根付いているため、日本の組織文化とも高い親和性を示します。

日本の品質基準に対しても、真摯に向き合い適応しようとする姿勢が見られるため、円滑な協力関係を築きやすいのが大きな魅力です。

参照:調査科学研究センター|ベトナムにおける宗教と信仰


日本との時差がわずか2時間でリアルタイムの連携が可能

日本とベトナムの時差はわずか2時間であり、日本のコアタイムのほとんどを共有しながら業務を進められます。これにより、緊急のトラブルが発生した際も即時の指示や会議が可能となり、開発スピードを落とさずに対応できます。

時差が大きい欧米やインドに比べて、心理的な距離感も近く、国内のニアショア開発に近い感覚でコミュニケーションを取れる点がメリットです。


ベトナムオフショア開発のデメリット

メリットが多いベトナムオフショア開発ですが、特有の文化的な差異やリスクも存在します。これらを事前に把握し、適切な対策を講じることがプロジェクトの失敗を防ぐポイントになります。


日本的阿吽の呼吸が通用しない

ベトナムでは「言わなくても伝わる」という前提が通用しないため、詳細かつ曖昧さを排除した指示書を作成しなければなりません。背景知識やビジネス習慣が異なる以上、機能の目的から丁寧に言語化する必要があります。

また、返事の「はい」が内容の理解ではなく、単なる受諾を意味する場合もあるため、理解度を都度確認する工夫が不可欠です。


離職率が日本より高い

ベトナムのエンジニアはキャリアアップに対して非常に貪欲であり、給与やスキル向上を求めて数年単位で転職するのが一般的です。プロジェクトの途中で主要メンバーが交代するリスクが常に存在するため、属人化を防ぐドキュメント整備が重要になります。

優秀な人材を留めるためには、単なる給与だけでなく、やりがいのある仕事や正当な評価制度の提示が求められます。


テト(旧正月)期間の長期休暇による進捗停止

ベトナム最大の祝祭日であるテト(旧正月)の期間は、国全体が1週間から10日ほど休みになり、開発作業が完全にストップします。この時期は帰省のために連休前後も稼働が不安定になりやすく、事前のスケジュール調整を怠ると納期遅延を招く恐れがあります。

日本の年度末に向けた追い込み時期と重なりやすいため、1月から2月にかけては余裕を持った計画管理が必要です。


失敗しないベトナムオフショア開発会社の選び方

パートナー選びは、オフショア開発の成否を分ける重要事項です。コストの安さだけでなく、技術的なマッチングやコミュニケーション能力を多角的に評価して判断しましょう。


自社の開発案件と得意領域がマッチしている

まずは自社が希望する開発ジャンルにおいて、商用リリースの実績を持っているかを確認します。JavaやPython、AWSなど、指定したい技術に精通したシニアエンジニアが実際に在籍しているかを見極めることも重要です。

過去の事例を詳しくヒアリングし、自社のプロジェクトを任せられる専門性があるかを厳しくチェックしてください。


日本拠点がある、または日本人のPMが介在するか

オフショア開発の要となるブリッジSE(BrSE)には、単なる語学力だけでなく、日本の設計書を正しく解釈して現地に指示を出す能力が求められます。日本側の記載漏れや矛盾に気づき、改善案を自ら提示してくれるようなレベルの高い人材がアサインできるか確認しましょう。

面談の際は、こちらの意図を汲み取るスピードや、報・連・相の徹底度を直接見極めることが大切です。


セキュリティ体制と情報保持の意識がある

機密情報を扱う以上、ISMS(ISO/IEC27001)などの国際的な認証を取得しているかは最低限チェックすべきポイントです。物理的な入退室管理やPCの持ち出し制限、開発環境へのアクセス権限管理が組織として厳格に行われているかを確認してください。

また、現場のエンジニア一人ひとりに情報漏洩のリスク管理意識が浸透しているか、定期的な研修が実施されているかも重要な判断基準となります。


スモールスタートが可能か

最初から大規模なチームを組むのではなく、まずは2〜3名程度の小規模な体制から開始できる柔軟性があるかを確認しましょう。数ヶ月間のトライアル期間を設け、実際のコミュニケーションの円滑さや納品物の品質を確かめることで、大きな失敗を回避できます。

プロジェクトの進捗に合わせて柔軟に体制を拡張したり、契約形態を見直したりできるパートナーであれば、リスクを最小限に抑えられます。


初回問い合わせ・商談で確認すべき5項目

初めての商談では、会社の安定性と品質管理の体制を具体的に確認しましょう。以下の5項目を判断の目安にしてください。

  1. PMやエンジニアの平均離職率
  2. 契約を終了・中断する際の条件
  3. 日本国内にサポート窓口や法人が存在するか
  4. コードレビューやQA(品質保証)専任チームの有無
  5. SlackやGitHubなど使用ツールの互換性(Slack, GitHub, JIRA, Notion等)

特に品質担保のプロセスが標準化されているかどうかは、最終的な成果物のクオリティに直結するため、詳細な説明を求めましょう。


まとめ

ベトナムオフショア開発は、2026年以降ますます価値が高まりそうです。単なるコストダウンの手段としてだけでなく、豊富なITリソースを活用した「DXのパートナー」として捉えることが、現代のビジネスにおいて重要となるでしょう。

成功のためには、ベトナム特有の費用相場や文化的な特性を正しく理解し、自社に最適な契約形態を選ぶ必要があります。コミュニケーションの壁や離職リスクといったデメリットも存在しますが、優秀なブリッジSEを擁する信頼できる会社を選ぶことでリスク回避していきましょう。

まずは小規模なプロジェクトからスタートし、現地のエンジニアと共に成長していく体制を築いてみてはいかがでしょうか。今回紹介した選び方のポイントを参考に、自社のビジネスを加速させる最適なパートナーを見つけ出してください。


人気記事ランキング 

ダイナミックスニペットはここに表示されます...使用するフィルタとテンプレートは提供されないため、このメッセージは表示されました。
タグ