AIエージェントは近年急速に進化しており、その種類も多様化しています。スマートサーモスタットや自動運転車、チャットインターフェースを備えたAIなど、多くのユースケースが存在します。
本記事では、AIエージェントの代表的な7つのタイプについて、実例とともにわかりやすくご紹介します。
1. 単純反応型エージェント(Simple Reflex Agents)
概要:
現在の環境入力のみに基づいて判断を下すエージェントです。「条件−行動」ルールに従って、入力に応じた動作を即座に実行します。内部モデルや記憶を持たず、完全に観測可能な環境下でのみ効果的に機能します。
実例:
- 一定温度を下回ると自動で暖房をつけるサーモスタット
- 障害物にぶつかると方向転換するロボット(例:ルンバ)
- 「こんにちは」に「こんにちは」と返すシンプルなチャットボット
2. モデルベース反応型エージェント(Model-Based Reflex Agents)
概要:
現在の入力に加え、環境の内部モデルを用いて判断を行うエージェントです。時間の経過とともに環境の状態を記録し、観測できない部分を補完することで、より複雑な意思決定が可能になります。
実例:
- 部屋のレイアウトを記憶し、既に清掃した場所を避けるロボット掃除機
- ユーザーとの会話履歴を記憶しながら応答するAIチャットエージェント
- 試合の過去状況に基づいて動くゲームAI
3. 学習型エージェント
(Learning Agents)
概要:
経験から学び、パフォーマンスを向上させるエージェントです。学習要素、性能要素、評価者、問題生成器の4つの構成要素からなり、試行錯誤を通じて行動を改善していきます。
実例:
- 市場の動きに応じて取引戦略を調整する暗号通貨AI
- ユーザーの嗜好を学び、精度を高めるレコメンデーションエンジン
- 問診データを学習し、トリアージの精度を向上させる医療チャットボット
4. 効用ベースエージェント(Utility-Based Agents)
概要:
最も高い効用(価値)をもたらす行動を選択するエージェントです。単に目標達成を目指すだけでなく、選択肢を評価し、予測される結果に基づいて最善のアクションを選びます。
実例:
- 成約確率に応じてリードを優先する営業チャットボット
- リスクと利益のバランスをとって資産を運用するトレーディングAI
- 会議の重複を避け、効率的なスケジューリングを行うビジネスボット
5. 階層型エージェント(Hierarchical Agents)
概要:
高レベルで抽象的な目標設定を行い、低レベルでは具体的な動作を担当する、階層構造のエージェントです。タスクを細かく分解し、各階層が異なる範囲の意思決定を担います。
実例:
- 製造ラインで全体の工程を計画する上位エージェントと、ロボットアームを操作する下位エージェント
- スマート工場における生産スケジュール、機械制御、現場作業の分担
6. 目標ベースエージェント
(Goal-Based Agents)
概要:
設定された目標を達成するために、最適な行動の組み合わせを探索・選択するエージェントです。反応的に動くのではなく、将来の結果を予測して計画的に行動します。
実例:
- 目的地までの最短ルートを計算するナビゲーションシステム
- 解答までの手順を探索するパズルAI
- 組み立てタスクを計画する産業用ロボットアーム
7. マルチエージェントシステム(Multi-Agent Systems)
概要:
複数のAIエージェントが相互に協調または競合しながら、共通または個別の目標を達成するシステムです。各エージェントは独立して行動しつつ、他のエージェントと通信または環境を通じて連携します。
実例:
- 交差点で互いに衝突を避けながら走行する自動運転車
- 請求処理、不正検出、レポート作成などを分担する金融AIボット
- 在庫管理、配送、需要予測を協調して行うサプライチェーンエージェント
カスタムAIエージェントの構築は意外と簡単
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まとめ
AIエージェントは、その構造や判断ロジックに応じて様々な分類が可能です。目的や活用シーンに応じて最適なエージェントタイプを選定することで、ビジネスやサービスにおけるパフォーマンス向上が期待できます。