アジャイル開発において、「プロジェクトの規模やコストを正確に見積もることが難しい」と悩んでいませんか?
アジャイル開発は、効率的に進めるため、見積もり方法や費用相場をあらかじめ理解しておく必要があります。
そこで本記事では、アジャイル開発の見積もり方法やプランニングポーカーの具体的な活用方法などを解説します。
アジャイル開発の見積もり手法であるプランニングポーカーとは?
プランニングポーカーとは、アジャイル開発時、開発者がプロダクトバックログを完了させるために必要な工数を見積もるための手法です。
チームメンバーが、フィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8など)が書かれたカードを使い、それぞれのタスクの難易度を相対的に評価します。
プランニングポーカーによる具体的な見積もり計算例は、下記の通りです。
1.ユーザーストーリーの作成 ユーザーストーリーとは、ユーザー目線で必要な機能やサービスについて説明した文章のことです。 例えば、「ユーザーが自分がほしい商品を探しやすくするために、検索機能を使えるようにする」といった内容が考えられます。 2.各メンバーがストーリーポイントを提示 チームメンバーが「ユーザーが検索機能を使えるようにする」というタスクの複雑さを評価し、ストーリーポイントを提示します。 例えば、1人のメンバーが3ポイント、別のメンバーが5ポイントを出したとします。 3.議論と再評価 数値が異なる場合、それぞれが根拠を説明し、チーム全体で議論を行います。 例えば、「検索結果のフィルタリング機能も含まれているので、5ポイントが妥当だ」という議論が行われます。
4.再度カードを提示 議論の後、もう一度全員がカードを提示します。 カードを提示した際に、全員が5ポイントを提示したら、「ユーザーが検索機能を使えるようにする」というタスクの見積もりは5ストーリーポイントとして確定します。 5.複数タスクの見積もり 同じ手順を複数のユーザーストーリーに対して行い、全体のタスク量を見積もります。 例えば、10個のタスクの合計が40ストーリーポイントとなった場合、それが開発の全体見積もりとなります。 |
プランニングポーカーは、アジャイル開発において、開発者がより正確な工数の見積もりを行うためのおすすめな手法です。
アジャイル開発の見積もりにプランニングポーカーを活用するメリット
アジャイル開発の見積もりにプランニングポーカーを活用するメリットは、下記の通りです。
- チーム全体が共通の認識を持てる
- 見積もりの精度が上がる
- ゲーム感覚で行うため対話が活発化する
各メリットについて詳しく解説します。
チーム全体が共通の認識を持てる
プランニングポーカーは、チームメンバー全員が同じ基準でタスクの難易度を評価し、意見を共有します。
そのため、各メンバーが持つ異なる視点や経験が共有され、チーム全体での共通認識が持てます。
結果的に、全員が納得した見積もりができるため、後から手戻りが発生しにくくなるメリットもあります。
見積もりの精度が上がる
プランニングポーカーでは、フィボナッチ数列を用いて、タスクの難易度を相対的に評価します。
絶対的な作業量ではなく、他のタスクとの比較によって見積もりを行うため、より正確な見積もりが可能です。
また、プランニングポーカーはチームメンバー全員が参加するため、個人の主観的な判断による誤差を減らし、より客観的な見積もりを行えます。
ゲーム感覚で行うため対話が活発化する
プランニングポーカーは、カードゲームのような形式で行うため、チームメンバーが楽しみながら参加できます。
自然と議論が進み、メンバー間のコミュニケーションが円滑になるため、全員が意見を出しやすい環境を作れるようになります。議論を繰り返すことで、チーム全体が共通認識を持てるようになり、プロジェクトの進行をスムーズに進められるでしょう。
アジャイル開発の見積もりにプランニングポーカーを活用する注意点
アジャイル開発の見積もりにプランニングポーカーを活用する注意点は、下記の通りです。
- 時間をかけすぎない
- 大きすぎるユーザーストーリーは分割する
各注意点について詳しく解説します。
時間をかけすぎない
プランニングポーカーは、チームメンバーが短時間で集中的に意見交換を行い、見積もりを決定する手法です。
しかし、時間をかけすぎると、見積もりの精度が低下したり、チームのモチベーションが低下したりする可能性があります。
そのため、見積もりにかける時間をあらかじめ設定しておくのがおすすめです。
また、全てのユーザーストーリーについて長時間議論するのではなく、特に複雑なストーリーや意見が分かれやすいストーリーに時間を使うなどの工夫が大切です。
大きすぎるユーザーストーリーは分割する
ユーザーストーリーが大きすぎると、見積もりが曖昧になり、確度が低くなりがちです。
そのため、特にストーリーポイントが大きい場合は、ユーザーストーリーを分割するのがおすすめです。
ユーザーストーリーは、下記のINVEST原則を参考にすれば、より細かく分割できます。
- Independent(独立)
- Negotiable(交渉可能)
- Valuable(価値がある)
- Estimable(見積もりが可能)
- Testable(テスト可能)
ユーザーストーリーを、より小さく具体的なタスクに分割すれば、見積もりの精度を高められます。
アジャイル開発の工数を見積もる方法
アジャイル開発の工数を見積もる際は、下記の手順で進めます。
- ユーザーストーリーの作成
- ストーリーポイントで見積もり
- プランニングポーカーでの見積もり
- ベロシティの計算
- リリース計画の立案
各手順について詳しく解説します。
ユーザーストーリーの作成
アジャイル開発の見積もりの第一歩は、ユーザーストーリーの作成です。
ユーザーストーリーとは、ユーザーがどのような価値を求めているのかをシンプルに表現したもので、「誰が、何を、なぜ」の形式で記述します。
ユーザーストーリーは、開発チームが機能の詳細を理解し、優先順位を設定しやすくするために重要です。
ストーリーポイントで見積もり
ストーリーポイントとは、タスクやユーザーストーリーの作業量を相対的に見積もる単位です。
見積もりは、作業の複雑さやリスクを考慮して行い、フィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8など)を使用します。
タスク間の相対的な労力を具体的な時間で見積もると、個人のスキルやタスクの複雑さは考慮されにくく見積もりの正確性が劣ります。
一方で、ストーリーポイントを活用すれば、経験やスキルの差を反映させられるため、より正確な見積もりが可能です。
プランニングポーカーでの見積もり
プランニングポーカーは、チームメンバー全員が参加して、ユーザーストーリーの相対的な数値を評価する手法です。
各メンバーが同時にストーリーポイントを提示し、数値が異なる場合はその理由を議論して最終的な見積もりを決定します。
プランニングポーカーは、チーム全員の意見を反映させられるので、より正確な見積もりを行うのに効果的です。
ベロシティの計算
ベロシティとは、一定期間(スプリント)で完了したユーザーストーリーの総ストーリーポイント数を指します。
ベロシティを計算すれば、チームの作業ペースが把握でき、次のスプリントでどれくらいの作業ができるかの目安がわかります。
リリース計画の立案
リリース計画では、ベロシティを基にしてリリースまでに必要な作業量と期間を見積もります。
計画は、ユーザーストーリーの優先順位に基づき、リリースのタイミングや範囲を決定します。
ただし、ベロシティは常に一定とは限らないため、過去のデータと現在の状況を総合的に判断し、計画を立てましょう。リリース計画の立案まで行えば、各スプリントやプロジェクト全体の工数が見積もりできます。
アジャイル開発の見積もりの正確性を上げる方法
アジャイル開発の見積もりの正確性を上げる方法として以下の2点が挙げられます。
- ユーザーストーリーを明確にする
- 関係者全員が参加する
それぞれの方法について詳しく解説します。
ユーザーストーリーを明確にする
アジャイル開発では、ユーザーストーリーを明確にすることによって、より顧客視点に立った開発が可能になります。
また、メンバー間の認識相違を防ぐことや、開発する機能の優先順位付けに役立てることもできます。
ユーザーストーリーを明確にしておくことでチームが共有認識を持てるため、見積もりの正確性が向上します。
関係者全員が参加する
アジャイル開発の見積もりを行う際には、個人のスキルや経験に依存しすぎることを防ぐために、関係者全員が参加しましょう。
特に開発初期は、経験が少ないメンバーが在籍する可能性もあるため、正確な見積もりが難しくなりやすいです。そこで、全員が参加することにより各自のスキルや知識を反映させた、より正確な見積もりが可能となります。
まとめ
本記事では、アジャイル開発の見積もりをより精度の高いものにするためにおすすめな、プランニングポーカーについて、メリットや注意点などを解説しました。
プランニングポーカーを活用すれば、メンバー間のスキルや経験値の差を考慮できるため、より精度の高い見積もりが行えます
社内の開発者だけではアジャイル開発の対応が難しい場合は、外部開発会社に委託することをおすすめします。
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