アジャイル開発は「要件定義が不要」は誤解!必要性やユーザーストーリーとの違いについて解説

2024年10月11日 by
アジャイル開発は「要件定義が不要」は誤解!必要性やユーザーストーリーとの違いについて解説
daichi.ito

「アジャイル開発には要件定義が不要って聞いたけど本当?」

「要件定義の方法や必要な手順がわからない」

アジャイル開発を進めようと思っているものの、要件定義についてわからず困っている方もいるでしょう。

結論をお伝えすると、アジャイル開発にも要件定義は必要です。

しかし、従来の開発における要件定義とは内容や作成手順が異なります。

本記事では、アジャイル開発における要件定義の必要性や要件定義書作成の手順について詳しく解説します。

最後まで読めば、アジャイル開発の要件定義について理解でき、開発をスムーズに進められるようになるでしょう。


アジャイル開発における要件定義とは?  

そもそも要件定義とは、システムやアプリケーションを開発する際、必要な機能や仕様を整理し、開発チームが何を作るべきかを明確にする工程のことです。

システム開発において、基本的には要件定義で搭載する機能や仕様はもちろん、開発期間や予算まですべて明確にしてから開発プロジェクトがスタートします。

一方でアジャイル開発は、頻繁な要件変更が前提となっているため、開発前に明確な要件定義はせずにプロジェクトを進めながら各イテレーション(開発単位)ごとに要件定義を実施します。


要件定義の重要性  

要件定義が明確になっていないと、開発の方向性がぶれてしまい、プロジェクト全体の成功に影響を与える可能性があります。

特にアジャイル開発では、迅速な変更への対応が必要なため、初期段階で最低限の要件を整理し、開発を進めながら柔軟に要件定義を見直すことが重要です。

また、クライアントとのコミュニケーションが密なアジャイル開発では、要件の共有がスムーズに行われることで、開発プロセスの透明性が高まり、クライアントからのフィードバックも迅速に反映できます。

初期段階で要件を整理しつつ柔軟に対応することで、クライアントの要望に沿った開発が可能となり、クライアント満足度の向上にもつながります。


要件定義書における成果物とは  

アジャイル開発の要件定義では、変化する要件(要求)に対応するため、開発前に明確な機能のゴールを示さないのが一般的です。そのため、成果物の定義が曖昧になることもあります。

しかし、のちのちの開発効率に影響するため、要件定義では成果物を明確にしておいたほうがよいです。

政府CIOポータルの「アジャイル開発実践ガイドブック」によると、アジャイル開発における成果物とは「スプリントによって開発された、動くシステムそのものを指す。」と定義されています。

出典:政府CIOポータル「アジャイル開発実践ガイドブック」


要件定義とユーザーストーリーの違い  

要件定義とユーザーストーリーは、アジャイル開発において異なる役割を持ちます。

要件定義は、具体的に「どう作るか」を明確にする工程のことで、システムやアプリの機能や仕様を詳細に記述し、それに基づいて開発が進められます。

一方、ユーザーストーリーは「ユーザーが何をしたいか」をシンプルに表現するもので、開発の目的を示すものです。

つまり、要件定義は、ユーザーストーリーをより具体的なものにするための作業であると言えるでしょう。


アジャイル開発の要件定義は不要?

アジャイル開発では、要件定義が不要と思われがちです。

しかし、要件定義がなければ開発の方向性が曖昧になり、成果物の品質低下や、クライアントの要望と異なるものができあがる可能性があります。そのため、アジャイル開発でも要件定義は必要です。

アジャイル開発では、プロジェクト全体にわたる詳細な要件定義は難しいですが、スプリントやイテレーションごとに柔軟に要件を定義することで、クライアントのフィードバックを取り入れた柔軟な開発が可能となります。


アジャイル開発における要件定義書作成の流れ

アジャイル開発における要件定義書作成の流れは以下のとおりです。

  1. クライアントの要望をヒアリング
  2. ユーザーストーリーの作成
  3. プロダクトバックログの作成
  4. スプリントプランニングの作成

それぞれの要件定義書作成の流れについて詳しく解説します。


クライアントの要望をヒアリング

アジャイル開発では、まずクライアントやステークホルダーからプロジェクトの目標や要望を正確に把握することが重要です。

要望をヒアリングすることで、開発チームとクライアントの間で共通の認識を持つことができ、開発の方向性がぶれにくくなります。

開発チームはクライアントに対して、どのようなユーザーがシステムやアプリを利用するのか、どの機能が最優先かなどを詳しく質問し、ニーズをさらに深堀りします。


ユーザーストーリーの作成

次に、ユーザーストーリーの作成を行います。

ユーザーストーリーとは、ユーザーがシステムを通じて実現したいことを簡潔にまとめたものです。

具体的には「ユーザーとして、○○をしたい。それは△△のためだ。」という形式で記載されます。

ユーザー視点で必要な機能や価値を定義することで、開発チームはユーザーのニーズに基づいたシステムを構築できるようになります。


プロダクトバックログの作成

ユーザーストーリーをもとに、プロダクトバックログを作成します。

プロダクトバックログは、システムの機能やタスク、要件などを一覧にし、優先順に並べたリストのことです。

どの機能を先に開発するか、またどのタスクが重要かを明確にします。

プロダクトバックログは、ステークホルダーとプロジェクト内容を共有するためにも使われます。


スプリントプランニングの実施

スプリントプランニングとは、スプリント開始前に実施する会議のことです。

スプリントプランニングでは、プロダクトバックログから優先度の高いタスクや機能を選び、次のスプリントではどの機能を開発するか、必要なタスクは何かなどを話し合って計画します。

これにより、各スプリントで取り組むべき目標が明確化され、開発チームはスムーズに作業を進められます。


アジャイル開発の要件定義書に必要な内容

アジャイル開発の要件定義書には、以下のような内容が含まれます。

  • プロジェクト概要
  • 機能要件
  • 非機能要件
  • セキュリティ要件
  • 運用要件

要件定義書ではプロジェクトの方向性や開発内容、開発後の運用までを定義し、文章にまとめます。

すべての要件を明確にせず、プロジェクト開始前に明確にしておく要件と、スプリントごとに定義する要件に分けて定義書を作成しましょう。

また、要件定義書に図でシステムイメージを記載することで、クライアントを含むステークホルダーが開発内容を理解しやすくなります。


まとめ

アジャイル開発においても、要件定義は必要です。

頻繁なフィードバックや修正が前提となるアジャイル開発では、プロジェクト開始前の詳細な要件定義が難しいこともありますが、イテレーションごとに適切な要件を定義することが重要です。

要件を明確にし、開発チーム全体で共通の認識を持つことで、効率的かつ品質の高い開発が可能となります。

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