アジャイル開発のスプリントとは?イテレーションとの違いや開発の流れについて解説

2024年10月3日 by
アジャイル開発のスプリントとは?イテレーションとの違いや開発の流れについて解説
daichi.ito

スプリントは、1〜4週間といった短い期間で設定される開発単位のことです。

しかし、具体的にどのようにスプリントを進めればアジャイル開発が上手くいくのか、詳しく知りたい方もいるでしょう。

この記事では、スプリントの基本的な考え方から、メリットやデメリット、上手く回すためのポイントまでを詳しく解説します。アジャイル開発を導入しようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。


アジャイル開発のスプリントとは?

スプリントは、アジャイル開発の主な手法であるスクラムの基準となる考え方で、プロジェクトを進める上で使われる短い作業期間や単位のことです。通常1〜4週間で設定され、決められた期間内に設計・開発・実装を行います。

アジャイル開発では、スプリントを繰り返しながら開発を進めることで、要件変更や顧客からのフィードバックをすぐに反映することが可能です。


イテレーションとの違い

スプリントとイテレーションは、どちらも開発工程のことであるという点では同じですが、呼び名や使われる開発手法が異なります。

イテレーションはエクストリーム・プログラミング(XP)で使われ、基本的な考え方は同じですが、XP独自のルールに従って作業が進められます。

どちらもプロジェクトを段階的に進めるための仕組みで、大きな違いはありません。


アジャイル開発にスプリントが必要な理由

アジャイル開発では、スプリントを使って作業を短いサイクルで区切ることで、進行状況をこまめに確認できます。

決められた短い期間に集中して開発を行うため、チームの生産性が向上します。

アジャイル開発のメリットである、短期間の開発を活かすためにはスプリントが必要不可欠です。


アジャイル開発におけるスプリントのメリット

アジャイル開発におけるスプリントの主なメリットは以下の通りです。

  • 柔軟な対応
  • リスクの早期発見と軽減
  • チームのモチベーション向上

それぞれのメリットについて詳しく解説します。


柔軟な対応

スプリントの大きなメリットは、変化に対応しやすいことです。

アジャイル開発では、スプリントごとに顧客からフィードバックを受け取り、次のスプリントに反映させていきます。そのため、プロジェクトの途中で要件や仕様が変わっても、柔軟に対応しながら開発を進めることが可能です。

スプリントごとに常に状況に合わせて開発内容を調整することで、顧客のニーズに合った開発が可能になります。


リスクの早期発見と軽減

スプリントによって、プロジェクトのリスクや課題を早い段階で見つけやすくなります。

アジャイル開発では、短い期間で設定されたスプリント内で開発から実装まで行うため、問題が起きた場合でもすぐに対応することが可能です。

その結果、大きなトラブルに発展する前に対応でき、プロジェクト全体を安全に進められます。


チームのモチベーション向上

スプリントでは、短い期間ごとに目標が設定され、進捗や達成度を定期的に確認します。

そのため、チームは目に見える成果を感じやすく、達成感を得やすくなる点がメリットです。

また、次々と目標をクリアしていくことで、チームメンバーのモチベーション維持にもつながり、結果としてチーム全体のパフォーマンスも向上するでしょう。


アジャイル開発におけるスプリントのデメリット

アジャイル開発におけるスプリントの主なデメリットは以下のとおりです。

  • 管理が複雑
  • コミュニケーションが必須
  • 知識やスキル習得に時間がかかる

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。


管理が複雑

スプリントの短いサイクルでは、タスクの管理や優先順位の調整が頻繁に発生するため、プロジェクトの管理が複雑になりがちです。

顧客から急な要望変更があれば、それに対応するために優先順位を見直さなければならず、スプリントの計画を再編成する必要があります。

また、進捗状況を常に把握し、次のスプリントに向けて調整する必要があるため、プロジェクトの管理者には高いスキルが求められます。


コミュニケーションが必須

スプリントでは、進捗確認やフィードバックを頻繁に行う必要があるため、チーム内外でのコミュニケーションは必須です。

開発チームと顧客とのコミュニケーションが不足すると、重要な仕様変更が伝わらずに、後になって大幅な修正が必要になる可能性もあります。その結果、プロジェクトの遅延やコストの増大といったリスクが発生する可能性もあるでしょう。

そのため、スプリントで実施される定期的な会議では、全員が積極的にコミュニケーションを取ることが重要です


知識やスキル習得に時間がかかる

アジャイル開発やスプリントに不慣れなメンバーがいる場合、開発プロセスの習得に時間がかかることがあります。

例えば、スプリントに携わる開発者は設計・開発・テストといった複数のタスクをこなす必要があるため、必要な知識やスキルが多くなります。開発者全員が必要な知識やスキルを習得できるように教育する必要があり、結果的に時間がかかってしまうでしょう。

社内にスプリントでの開発経験があるメンバーがいない場合は、外部の会社にアジャイル開発を委託することも視野にいれるとよいでしょう。


アジャイル開発のスプリントの進め方

アジャイル開発のスプリントの進め方は以下のとおりです。

  1. スプリントプランニングの実施
  2. スプリントの実行
  3. スプリントレビューの実施
  4. スプリントレトロスペクティブの実施

それぞれの進め方について詳しく解説します。


スプリントプランニングの実施

スプリントを始める際には、まずスプリントプランニングを行います。スプリントプランニングでは、スプリントの目的を決定し、何を達成するかを明確にします。

次に、開発に必要なタスクを一覧で可視化(プロダクトバックログ)し、タスクの中から期間内に完了させる作業を選びます(スプリントバックログ)。

スプリントプランニングにより、チーム全体がどのタスクに集中するべきかを把握し、同じ目標に向けてプロジェクトを進めることが可能です。


スプリントの実行

スプリントが始まったら、日々の進行を確認するデイリースクラムを行います。デイリースクラムとは、チームメンバー全員が10〜15分程度の短時間で集まり、進捗状況を共有して問題点を確認するミーティングです。

スプリントの実行中は、開発の目的を常に意識し、必要に応じてタスクの優先順位を調整することが重要です。


スプリントレビューの実施

スプリントが終わったら、スプリントレビューと呼ばれる会議を実施します。スプリントレビューでは、スプリント中に作成された成果物や進捗状況を確認し、ステークホルダーからフィードバックを受け取ります。

そして、フィードバックを次のスプリントに活かすため、改善点や新たな要件をまとめます。


スプリントレトロスペクティブの実施

スプリントレトロスペクティブは、スプリントレビュー後に行われる振り返りのための会議です。スプリントレトロスペクティブでは、スプリントの進行中に発生した課題や成功した点を振り返り、今後の改善策を話し合います。

改善点を次のスプリントに取り入れることで、チームの効率を上げ、より良い成果を生み出します。


アジャイル開発でスプリントを上手く回すポイント

アジャイル開発でスプリントを上手く回すポイントは以下のとおりです。

  • 目標をチームで共有する
  • 優先順位を決める
  • 役割を明確にする

それぞれのポイントについて詳しく解説します。


目標をチームで共有する

スプリントを成功させるためには、チーム全体が同じ目標に向かって動くことが重要です。

例えば、「ユーザー登録機能の実装を完了する」や「検索機能の応答速度を20%向上させる」といった具体的な目標を設定します。

目標が明確になることで、チームメンバーは自分たちの作業が全体の目標にどのように貢献するのかがわかり、モチベーションの向上やチームの一体感が生まれることにつながります。


優先順位を決める

プロダクトバックログから、優先度の高いタスクを選び出し、スプリント内で重要度の高い項目に集中することが大切です。

タスクや作業量が多すぎると期間内に完了できなかったり、品質が低下する可能性があります。

質の高い成果物にするためには、すべてのタスクを完了させるのではなく、重要なタスクにリソースを集中させることが重要です。


役割を明確にする

スプリントをスムーズに進行させるためには、各メンバーの役割をはっきりと定めることが必要です。

スプリントが実施されるスクラムでは以下の役割があります。

役割

詳細

プロダクトオーナー

開発の責任者という位置づけで、製品の方向性を決定し、チームが取り組むべきタスクを優先順位付けする役割

スクラムマスター

スクラムのプロセスがスムーズに実行されるようサポートし、プロダクトオーナーの支援を行うのが役割

開発チーム

実際に製品や機能を作成するチーム

関係者がそれぞれの役割を理解し、自分の責任範囲を把握することで、問題の発生時にも迅速に対応でき、スプリントをスムーズに進められます。


まとめ

アジャイル開発におけるスプリントは、プロジェクトを進める上で使われる短い作業期間や単位のことで、通常1〜4週間で設定されます。

スプリントを成功させるためには、チーム全体で目標を共有し、優先順位をはっきりさせ、役割分担を明確にすることが重要です。

スプリントに携わった経験がない方は、アジャイル開発を行う会社に開発を委託するのもおすすめです。

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