〜若手とベテラン、世代を超えたコミュニケーション設計〜
1. 報連相とは何か?なぜ日本の現場で大事にされるのか?
「報告・連絡・相談」――略して報連相(ほうれんそう)は、
日本企業の現場で重視されてきた業務コミュニケーションの基本です。
- 報告:自分の進捗・成果・結果を上司や関係者に伝える
- 連絡:必要な情報を関係者に共有する
- 相談:判断に迷うことを事前に共有し、助言を仰ぐ
これは、トラブルの予防・情報共有・責任分担を徹底するために根付いてきた文化です。
2. オフショア現場では“報連相”が機能しにくい?
主な理由:
- 曖昧な言葉が多く、行動に結びつきにくい
- 「いつ・どこまで・どの形式で」報告すべきか明示されない
- 海外メンバーにとっては“評価される基準”が不明瞭
- フィードバックが遅く、リズムが崩れる
ベトナム開発チームの現実:
- Slack/Chatwork/LINE Works などチャット文化に馴染み深い
- スピード重視で、報連相よりもリアルタイムなやり取りが主流
- 「報告・相談しない=自律している」と誤解されることも
3. チャット文化のメリットと落とし穴
◎ メリット:
- 即時性が高く、状況変化にすぐ対応できる
- 文脈がタイムラインで残るため、履歴管理がしやすい
- リモートワーク時代にフィット
▲ デメリット:
- 情報が流れやすく、見逃し・誤解のリスク
- 曖昧な言い回しや省略語が増える
- スレッドが乱立し、管理が煩雑に
4. 両者のいいとこ取りをする“ハイブリッド型コミュニケーション”とは?
ポイントは「意図を明確に」「ルールを軽やかに」:
目的 | 方法 | ポイント |
日々の進捗共有 | チャット(Slack, Chatwork) | 定時・定型フォーマットを決める(例:朝会・夕会) |
イレギュラー報告 | チャット+タグ付け | @mention で責任者に確実に通知 |
判断に迷う相談 | オンライン会議/1on1 | 相談の背景を簡潔に準備しておく |
課題・懸念の共有 | Google Docs/Notion/Redmineなど | 書面で明文化し、履歴と一緒に管理 |
チーム運営のTips:
- 「報告の型」をテンプレ化(例:進捗・課題・次のアクション)
- 「定例報告+随時チャット」でリズムと柔軟性の両立
- 「相談しやすい空気」をマネージャーが意図的に作る
5. まとめ:伝え方は文化。だからこそ“設計”するべき
報連相は古い? チャット文化は雑?
いいえ、どちらも目的次第で有効な武器になります。
大事なのは、**チームごとの“伝え方の設計”**です。
日本とベトナムの文化を理解し、共通言語とルールを持つことで、
コミュニケーションは組織の武器になります。
次回予告:
「品質に対する考え方の違いと、その埋め方」
〜日本人の「完璧主義」と、ベトナム人の「まず動く」精神をどう融合させる?〜