「進捗どうなってる?」「言わなくても分かるよね?」
日本では当たり前のマネジメントスタイルが、
海外オフショア開発においては伝わらない、響かないことがよくあります。
今回は、日本式マネジメントの特徴を振り返りながら、
それがベトナムなどのオフショア現場で通用するのか?
どうすれば文化の違いを乗り越え、成果につなげられるのか?を解説します。
1. 日本式マネジメントの特徴と課題
日本独特のマネジメントスタイルは、以下のような特徴を持つ一方、海外では通用しづらい側面があります。
特徴
- 暗黙知と「察する」文化:細かい指示を出さず、相手が「分かるよね」を前提。
- 報連相(報告・連絡・相談):緻密な情報共有で進捗を管理。
- 根回しと合意形成:秩序を重んじ、事前に調整を重視。
- 空気を読むリーダーシップ:責任感と状況察知をベースにした指導。
強み
- 高品質なプロセス管理と細やかなリスク回避。
- 長期的な信頼関係の構築。
- トラブルを未然に防ぐ先回り思考。
課題
- プロセス重視がアウトプットの明確さを欠く場合がある。
- 「同じ文化圏」を前提とした暗黙のコミュニケーション。
- 上下関係や遠慮により、率直な意見が出にくい。
2. ベトナムオフショア現場とのギャップ
ベトナムの開発現場では、日本式マネジメントが期待通りに機能しないケースが頻発します。その背景にある文化の違いとは?
ベトナムの特徴
- 具体的な指示を重視:「お任せ」は曖昧で混乱を招く。
- フラットな関係性:オープンなコミュニケーションを好む。
- 質問を控える傾向:失敗を恐れ、確認をためらう場合も。
- 個の成長志向:チームより個人としての成果や学びを重視。
具体的なギャップ例
日本式アプローチ | ベトナム側の反応 |
---|---|
「大丈夫?」と聞く | 「Yes」と答えるが、実際の問題が不明。 |
詳細な指示前に進めてほしい | 明確な指示がないと作業が止まる。 |
報連相を期待 | 報告のタイミングや内容が曖昧で不足。 |
3. 文化の壁を越える実践的アプローチ
日本式マネジメントをオフショア現場で機能させるには、以下の工夫が不可欠です。
(1) 「察する」前提を捨てる
- 明文化を徹底:仕様、期待値、優先順位を文書や図表で明確に。
- ブリッジSE(BrSE)+ドキュメント活用:通訳だけでなく、設計書やメモで情報を補完。
(2) 報連相を仕組み化
- 定例ミーティングの習慣化:毎朝の進捗共有や夕方の振り返りでリズムを作る。
- チャットツールの活用:「相談→判断→アクション」を迅速に完結。
(3) 信頼を文化横断で築く
- プロジェクトの「なぜ」を共有:目的や背景を伝え、チームのモチベーションを高める。
- 成長を評価:成果だけでなく、個人の学びや挑戦を認める文化を醸成。
- 日本側PMの姿勢:相手の意見を積極的に聞き、受け入れる柔軟さを持つ。
4. リーダーが「文化の翻訳者」になる
オフショア開発の成功は、「日本式」や「ベトナム式」の押し付けではなく、文化の違いを理解し、共通言語を創ることにかかっています。リーダー自身が「文化の翻訳者」となり、双方の強みを引き出すことが鍵です。
Rikaiでは、日本とベトナムのマネジメントスタイルに精通したPMとBrSEが、文化の架け橋となり、信頼と成果の両立をサポートします。文化の壁を越え、プロジェクトを成功に導くパートナーとして、ぜひご相談ください。