「2025年の崖」という言葉を耳にしたことはありませんか?
「2025年の崖」とは、老朽化したシステム(レガシーシステム)が事業の足かせになり、経済損失や競争力低下につながる可能性を指摘したものです。
この課題を解消するためには、「2025年の崖」の影響を正しく理解し、適切な対策を実施する必要があります。
そこで本記事では、下記について詳しく解説します。
- 2025年の崖が解消できなかった場合の影響
- 2025年の崖を回避するためにやるべきこと
本記事を読めば、レガシーシステムによる現状や、それが企業に与える影響を深く理解でき、具体的な対策がわかります。
レガシーシステムとは?
レガシーシステムについて、概要や現状について詳しく解説します。
レガシーシステムの概要
レガシーシステムとは、古い技術を使ったシステムや、長期間利用されているシステムなどのことを指します。
レガシーシステムと呼ばれる具体的なシステムは、下記の通りです。
- メインフレーム(大型コンピューター)や小型化したオフィスコンピューターを使ったシステム
- COBOL(プログラミング言語)といった古い言語を使ったシステム
- 特定の開発者しか扱えない独自仕様のシステム
- システムの設計図やソースコードが失われており、管理が難しいシステム
- 最新技術との互換性が低いシステム
上記のようなレガシーシステムは、保守・運用コストが高く、新しい技術やビジネスの変化に対応しにくいという課題を抱えています。
レガシーシステムの現状
経済産業省の「DXレポート」によると、日本の企業の約8割がレガシーシステムを抱えているという現状があります。
出典:経済産業省|「DXレポート」~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
レガシーシステムは老朽化しているため、突然の故障やセキュリティ侵害のリスクが高まります。
しかしながら、長年の運用で複雑化したレガシーシステムの改善や更新は、容易ではありません。
さらに、レガシーシステムを維持するための年間コストは増加傾向にあり、技術者の確保やトラブル対応にも多大な労力が必要です。
上記のような現状から、「2025年の崖」という課題が注目されており、早期の対策が求められています。
引用:経済産業省|「DXレポート」~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
「2025年の崖」とは?
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で指摘された課題を指します。
レポートのなかでは、老朽化し複雑化した既存のITシステム(レガシーシステム)が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を妨げると指摘されています。
もし、上記の課題が解決できない場合、2025年以降、毎年最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失をもたらすほど事態は深刻です。
また、レガシーシステムを抱えたままでは、企業の成長を遅らせ、競争力の低下にも繋がります。
この危機を乗り越えるためには、今すぐDXを推進し、既存システムの刷新に取り組む必要があるでしょう。
引用:経済産業省|「DXレポート」~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
2025年の崖が解消できなかった場合の影響
2025年の崖が解消できなかった場合の影響は、下記の通りです。
- システム維持費の高額化
- セキュリティ上のリスク向上
- DXの実現不可
それぞれの影響について詳しく解説します。
システム維持費の高額化
2025年の崖を解消できず、レガシーシステムを使い続けると、システム維持費が大幅に高額化する可能性があります。
例えば、レガシーシステムのような古い技術を扱える技術者の希少化が進み、人件費が高騰する可能性があります。
また、老朽化したシステムの保守費用が増大し、頻発する障害や緊急対応のために予期せぬ支出が発生する場合もあるでしょう。
上記のような弊害により、限られたIT予算が既存システムの維持費に消耗され、本来力を入れたいデジタル技術の導入や活用に充てる費用が枯渇してしまいます。
セキュリティ上のリスク向上
レガシーシステムは、セキュリティ面でも大きなリスクを抱えています。
レガシーシステムでは、サポートが終了した古いOSやソフトウェアが使われている場合が多く、セキュリティパッチ(脆弱性を解消する更新プログラム)が開発者から提供されません。
そのため、脆弱性を悪用したサイバー攻撃を受けて、ウイルス感染や不正アクセスといったセキュリティリスクが高まります。
さらに、最新のセキュリティ対策を導入するのが難しく、サイバー攻撃に対する防御力が低下するため、データ漏洩やシステムダウンなど、企業の信頼性を損なう事態が発生する可能性が増大します。
DXの実現不可
レガシーシステムを使い続ける限り、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現は困難です。
なぜなら、レガシーシステムの維持に多くのコストと人材を費やしてしまうため、新しいシステムへの投資やデジタル技術の導入が遅れてしまうからです。
競合他社が先進的なシステムを導入するなかで技術格差が拡大し、ビジネス変革が遅れることにより市場競争力の低下にも繋がります。
DX化が進まない状況が続くと、企業の存続そのものが危ぶまれる可能性もあるでしょう。
2025年の崖を回避するためにやるべきこと
2025年の崖を回避するためにやるべきことは、下記の通りです。
- IT人材の育成と確保
- 既存システムの見直し
- デジタル技術を導入
それぞれのやるべきことについて詳しく解説します。
IT人材の育成と確保
2025年の崖を回避するためには、デジタル技術を活用できる人材の育成と確保が重要です。
具体的には、レガシーシステムの運用・保守だけでなく、新しいシステムの開発や導入を担う人材が必要です。
IT人材を育成・確保するために企業は、人材育成プログラムの実施や、専門知識を持つ外部人材の採用が求められます。
また、社員のスキルアップを目的とした資格取得支援や研修を取り入れれば、組織全体のデジタル対応力を高められるでしょう。
既存システムの見直し
既存のシステムをそのまま使い続けるのではなく、定期的に見直し、必要な改善に取り組みましょう。
経済産業省が策定した「ITシステム構築の枠組みに関する定性指標」を参考に、自社のシステムを評価すれば、改善すべき点が明確になります。
ITシステムに求められる具体的な評価指標は、以下の通りです。
指標項目 | 詳細 |
データ活用 | データをリアルタイム等使いたい形で使えるITシステムとなっているか |
スピード・アジリティ | 環境変化に迅速に対応し、求められるデリバリースピードに対応できるITシステムとなっているか |
全社最適 | 部門を超えてデータを活用し、バリューチェーンワイドで顧客視点での価値創出ができるよう、システム間を連携させるなどにより、全社最適を踏まえたITシステムとなっているか |
引用:経済産業省|D X 推進指標(ITシステム構築の枠組みに関する定性指標)
その他にも「不要なシステムの廃棄ができているか」「人材確保ができているか」など、様々な指標があります。
DXを推進したい方は「ITシステム構築の枠組みに関する定性指標」を活用し、既存システムを見直しましょう。
デジタル技術を導入
クラウド、AI、IoTなどのデジタル技術を取り入れれば、業務の効率化や新しいビジネスモデルの創出が期待できます。
例えば、クラウドサービスを活用すれば、システムの構築・運用コストを削減でき、柔軟なIT環境を作れます。
また、AIを活用すれば、業務の自動化やデータ分析の精度向上を実現できるでしょう。
上記のように、最新のデジタル技術を活用すれば、競争力を維持しながら、ビジネスの持続的成長を促進できます。
まとめ
レガシーシステムが抱える課題である「2025年の崖」を克服できないと、システム維持費の増大やセキュリティリスクの拡大に加え、DXの実現が困難になる恐れがあります。
「2025年の崖」を回避するためには、IT人材の育成と確保、既存システムの確認、デジタル技術の導入といった取り組みでDXを実現する必要があります。
しかし、DXは単なるITシステムの導入ではなく、企業文化や組織体制の改革も伴う壮大な変革です。
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