「新規プロジェクトの立ち上げを検討中だが、コストは抑えたい。」
「事業拡大に伴い、開発リソースの確保が大変。」
このように感じているIT企業の担当者の方もいるのではないでしょうか?
ミャンマーは、コストパフォーマンスの高さや日本語を話せる人の増加といった理由から、近年注目を集めているオフショア開発先の1つです。
しかし、まだまだ新しい市場であるため、「本当に大丈夫かな?」「品質は担保できるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ミャンマーオフショア開発のメリット・デメリット、そして成功させるための具体的なステップを解説します。
本記事を最後まで読めば、自社開発に適したオフショア開発会社の選び方などが理解できます。
ミャンマーオフショア開発とは?
ミャンマーオフショア開発とは、ミャンマーのエンジニアやIT企業に対し、ソフトウェア開発やシステム運用などの開発工程をアウトソーシングすることです。
最近ではミャンマーの経済発展とIT産業の成長が注目され、新たなオフショア開発先として検討される機会が増えています。
ミャンマーでのオフショア開発は、他のアジア諸国(インドやベトナム)と比較しても、コスト効率の高さや文化的な親和性が魅力です。
ミャンマーについて
ミャンマーは東南アジアに位置し、面積は約68万平方キロメートル、人口は約5,400万人です。首都はネピドーで、公用語はビルマ語です。(出典:外務省|ミャンマー基礎データ)
ミャンマーは豊かな自然資源を持ち、農業や漁業が主要産業ですが、IT分野の教育にも力を入れており、年間で多くのIT卒業者を輩出していることから近年ではIT産業も急成長しています。
出典:ヒューマンリソシア
ヒューマンリソシア株式会社の調査によると、現役のIT技術者に対するIT技術者卒業生の割合は、日本が3.1%であるのに対し、ミャンマーは244.4%と世界1位です。
ミャンマーの情勢
ミャンマーでは2021年2月1日に軍がクーデターを起こし、民主化運動の指導者であるアウン・サン・スー・チー氏を拘束しました。
クーデターの影響で政治的な混乱が続いており、軍と民主派の対立が続いています。
しかし、多くの国民は民主化に向けて前向きに活動を続けており、経済や社会の安定を目指しています。
企業がミャンマーでオフショア開発を行う際には、現地の政治情勢を常に把握し、リスク管理を徹底することが重要です。
ミャンマーオフショア開発の単価
ミャンマーオフショア開発の単価は、開発者のスキルレベルや経験によって異なりますが、下記の価格が相場です。
ミャンマー | 人月単月(万円) |
プログラマー | 27.47 |
シニアエンジニア | 54.16 |
ブリッジSE | 68.33 |
PM | 97.50 |
引用:『オフショア開発の一般化』について|「オフショア開発白書(2023年版)」から読み解く
仮に日本のプログラマーに開発を依頼した場合の相場は、60万円前後です。(出典:総務省「調達に関する課題 「IT発注力」の向上について」 p.14)
そのため、ミャンマーでのオフショア開発は、日本国内と比較して大幅にコストを抑えられます。
ただし、上記の単価は目安であり、実際はプロジェクトの内容や規模、開発期間などによって変動する場合もあります。
ミャンマーオフショア開発のメリット
ミャンマーオフショア開発のメリットは、下記の2つです。
- コスト効率の高さ
- 日本語使用者が増加傾向
次項で各メリットについて解説します。
コスト効率の高さ
ミャンマーはオフショア開発先として、コスト効率の高さがメリットです。
人月単価 (万円) | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
中国 | 50.01 | 61.79 | 79.29 | 92.14 |
ベトナム | 40.22 | 49.13 | 57.73 | 79.38 |
フィリピン | 35.83 | 53.33 | 81.25 | 70.83 |
ミャンマー | 27.47 | 54.16 | 68.33 | 97.50 |
バングラデッシュ | 44.13 | 46.13 | 90.96 | 58.63 |
インド | 50.83 | 68.75 | 94.29 | 111.43 |
出典:『オフショア開発の一般化』について|「オフショア開発白書(2023年版)」から読み解く
他のアジア諸国(インド、ベトナム)と比較しても単価が安いため、同じ予算でより多くの人材を投入でき、プロジェクトのスピードアップや品質向上が期待できます。
そのため、ミャンマーは資金力の低い中小企業やスタートアップにとっても、利用しやすい選択肢と言えるでしょう。
日本語使用者が増加傾向
ミャンマーでは日本語を学ぶ人が増加しています。この点も、ミャンマーでオフショア開発を行うメリットと言えます。
オフショア開発の人気国で、日本語学習者の増加率は以下の通りです。
国名 | 日本語学習者の増加率 |
ベトナム | 169.1% |
フィリピン | 3.0% |
ミャンマー | 215.0% |
インド | 58.7% |
出典:海外の日本語教育の現状|2018年度 日本語教育機関調査より p.15
上記の表からも、ミャンマーは日本語教育に対する意識が高いことがわかります。
日本語を話せる人材が多ければ、日本企業とのコミュニケーションも円滑に行える可能性が高いと言えます。
ミャンマーオフショア開発のデメリット
ミャンマーオフショア開発のデメリットは、下記の2つです。
- 技術力では遅れをとっている
- オフショア開発実績が少ない
次項で各デメリットについて解説します。
技術力では遅れをとっている
IT大国の中国やベトナムなどと比較すると、ミャンマーの技術力はまだ発展途上にあります。
特に、高度なITスキルを持つ人材の割合が低いため、特定の技術に依存するプロジェクトには注意が必要です。
例えば、最新のAI技術やブロックチェーン技術を必要とするプロジェクトでは、対応できる人材が少ない可能性があります。
そのため、現地の開発者に特定の技術やツールでのトレーニングを提供したり、ミャンマーのIT企業と提携し、最新の技術を持つパートナーを見つけるなどの対策も必要です。
オフショア開発実績が少ない
ミャンマーのオフショア開発の実績はまだ少なく、経験豊富な企業が限られているため、クライアント側がプロジェクト管理をしっかりと行う必要があります。
プロジェクトの成功には、綿密な計画と継続的な進捗確認が重要です。
対策としては、プロジェクト管理ツールの活用や、定期的な進捗報告を行うことです。
具体的には、プロジェクト管理ツールを活用して進捗を可視化や、週次や月次での進捗確認ミーティングを設定し、問題を早期に発見・対処できるようにしましょう。
ミャンマーオフショア開発の進め方
フィリピンオフショア開発の進め方は、下記の通りです。
- STEP1:オフショア会社の選定
- STEP2:予算の相談
- STEP3:見積もりの作成
- STEP4:契約・開発開始
次項で各ステップについて詳しく解説します。
STEP1:オフショア会社の選定
ミャンマーでオフショア開発を依頼する会社を選ぶ際は、下記のポイントを押さえておきましょう。
- 依頼したい業種の実績を豊富に持つ会社であるか
- 日本語での対応が可能か
- 時差よるコミュニケーションの遅延をどのように解消するのか
例えば、自社がスマホアプリの開発を依頼したい場合、スマホアプリ開発の実績が豊富な会社を選ぶと良いでしょう。
また、ミャンマーにおいては実績だけではなく、クーデターの影響による政治情勢やインターネット回線の安定性なども確認しておく必要があります。
STEP2:予算の相談
いくつかオフショア開発の委託先候補が決まったら、見積もりを取り寄せて予算を相談しましょう。
安さだけでなく、下記のような自社のプロジェクトに必要なサービスが含まれているかを考慮しましょう。
- プログラミングやシステム設計などの主要な開発
- 進捗管理やリソース管理などのプロジェクトマネジメント業務
- 定期的な週次・月次ミーティングの実施
- インフラストラクチャーの運用
- リリース後のシステム保守やバグ修正・機能追加
見積もりが予算をオーバーする場合は、機能の優先順位付けや納期の調整・開発手法の変更などの検討が必要です。
STEP3:見積もりの作成
見積もりを作成する際は、下記のように具体的な要望を明確にしましょう。
- 開発したい機能をリストアップし優先順位をつける
- システムのUI/UXデザインに関する要望を具体的に伝える
- プロジェクトの完了期限を明確にする
具体的な要望を明確にすれば、正確な見積もりを取得でき、プロジェクトのスムーズな進行にも期待できます。
詳細な仕様書や機能要件書を作成し、双方の合意を得られるようにしましょう。
STEP4:契約・開発開始
見積もり内容に合意できれば、正式な契約を結び開発を開始します。
なお、円滑なプロジェクト進行のために、下記の点に注意しましょう。
- 契約内容の不明点は質問
- プロジェクト管理ツールを導入し進捗状況を可視化
- テスト実施や品質基準の明確化など行い品質を管理
契約・開発開始は、プロジェクトの成功を左右する重要なフェーズです。
上記に挙げたポイントを実行することで、プロジェクトを円滑に進められます。
まとめ
ミャンマーでのオフショア開発は、コスト効率や日本語使用者の増加など、多くのメリットがあります。
一方で、技術力の不足や実績の少なさといったデメリットも存在します。
オフショア開発を成功させるためには、信頼できるパートナーの選定と綿密なプロジェクト管理が重要です。
なお、オフショア開発において、ミャンマーが注目を集めているのは事実ですが、最も選ばれている委託国は「ベトナム」です。
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