納期感覚の違いが、プロジェクトを狂わせる?

2025年4月23日 by
納期感覚の違いが、プロジェクトを狂わせる?
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〜“余裕”を見込む日本人、“ギリギリ”を前提とするベトナム人〜

1. そもそも「納期」とは何か?

日本の現場では、「納期=最終成果物を受け取れる日」であり、

そこに至るまでの品質保証や余裕期間も含めて逆算してスケジュールを立てることが一般的です。

 日本側の納期感覚:

  • 納期の1週間前に完成してレビュー時間を確保

  • トラブルがあっても対応できるようバッファを設定

  • 万が一のケースも含めて準備する「最悪の想定」文化

2. ベトナム側の“納期観”は?

一方で、ベトナムの開発現場では、

「納期=その日に完成させればOK」という納品ベースの考え方が一般的。

 ベトナム側の納期感覚:

  • 「まだ時間がある」と思って後半に集中して対応

  • バッファはあくまで“想定外”が起きたときの保険

  • 実装完了が“納期ギリギリ”でも問題ないと考える

3. よくある摩擦の例

シチュエーション

日本側の捉え方

ベトナム側の行動

納期1週間前に成果物が来ない

「間に合わないかも」と焦る

「まだ時間あるし、最後にまとめて出せばいい」

中間レビューの未対応

「進捗が遅い」と判断

「今は手を動かすフェーズ、レビューは後で」

仕様変更リスクに備えたい

余裕が必要

「まだ変更出てないし、今は急がない」

4. その違いは“時間に対する文化”からくる

 日本:

  • 時間を前倒しで使う

  • 「予定より早く終えること」が信頼になる

  • “空気を読む”ことで、相手の期待を先読み

 ベトナム:

  • 時間を最大限に使う(効率優先)

  • 最後まで粘ってやり切る文化

  • 明確な指示がないと、優先度を自分で判断しがち

5. どう埋めていく?実践的な3つのアプローチ

① “納期の定義”を明確にする

  • 「納品=完成+確認完了+修正反映」であることを初期に共有

  • 納期のX日前に提出→X-2でレビュー→X-1で修正など、マイルストーンを細分化

② プロジェクト全体に“逆算スケジュール”の感覚を入れる

  • Gantt chartやカンバンを使ってレビューやフィードバックのタイミングを可視化

  • BrSEやPMが毎週レビュー+次週の注意点を共有するルーチンの確立

③ 信頼関係に基づく“声かけ”の習慣化

  • 「進捗どう?」→「あと3日で終わる予定です」だけではなく、進捗+リスク+残作業の三点報告を習慣に

  • ベトナム側からも「今やるべきことはこれで合ってますか?」と確認を促す文化づくり

6. 最後に:納期とは信頼のマイルストーン

納期の違いは、ただの“作業管理”の問題ではなく、

信頼の積み重ねの仕方そのものに関わります。

Rikaiでは、文化の違いを理解した上で、

「日越の時間感覚のギャップを超えた信頼設計」に取り組んでいます。