〜“余裕”を見込む日本人、“ギリギリ”を前提とするベトナム人〜
1. そもそも「納期」とは何か?
日本の現場では、「納期=最終成果物を受け取れる日」であり、
そこに至るまでの品質保証や余裕期間も含めて逆算してスケジュールを立てることが一般的です。
日本側の納期感覚:
- 納期の1週間前に完成してレビュー時間を確保
- トラブルがあっても対応できるようバッファを設定
- 万が一のケースも含めて準備する「最悪の想定」文化
2. ベトナム側の“納期観”は?
一方で、ベトナムの開発現場では、
「納期=その日に完成させればOK」という納品ベースの考え方が一般的。
ベトナム側の納期感覚:
- 「まだ時間がある」と思って後半に集中して対応
- バッファはあくまで“想定外”が起きたときの保険
- 実装完了が“納期ギリギリ”でも問題ないと考える
3. よくある摩擦の例
シチュエーション | 日本側の捉え方 | ベトナム側の行動 |
納期1週間前に成果物が来ない | 「間に合わないかも」と焦る | 「まだ時間あるし、最後にまとめて出せばいい」 |
中間レビューの未対応 | 「進捗が遅い」と判断 | 「今は手を動かすフェーズ、レビューは後で」 |
仕様変更リスクに備えたい | 余裕が必要 | 「まだ変更出てないし、今は急がない」 |
4. その違いは“時間に対する文化”からくる
日本:
- 時間を前倒しで使う
- 「予定より早く終えること」が信頼になる
- “空気を読む”ことで、相手の期待を先読み
ベトナム:
- 時間を最大限に使う(効率優先)
- 最後まで粘ってやり切る文化
- 明確な指示がないと、優先度を自分で判断しがち
5. どう埋めていく?実践的な3つのアプローチ
① “納期の定義”を明確にする
- 「納品=完成+確認完了+修正反映」であることを初期に共有
- 納期のX日前に提出→X-2でレビュー→X-1で修正など、マイルストーンを細分化
② プロジェクト全体に“逆算スケジュール”の感覚を入れる
- Gantt chartやカンバンを使ってレビューやフィードバックのタイミングを可視化
- BrSEやPMが毎週レビュー+次週の注意点を共有するルーチンの確立
③ 信頼関係に基づく“声かけ”の習慣化
- 「進捗どう?」→「あと3日で終わる予定です」だけではなく、進捗+リスク+残作業の三点報告を習慣に
- ベトナム側からも「今やるべきことはこれで合ってますか?」と確認を促す文化づくり
6. 最後に:納期とは信頼のマイルストーン
納期の違いは、ただの“作業管理”の問題ではなく、
信頼の積み重ねの仕方そのものに関わります。
Rikaiでは、文化の違いを理解した上で、
「日越の時間感覚のギャップを超えた信頼設計」に取り組んでいます。