〜完璧主義 vs スピード重視、その間にある「品質」の本質〜
1. 日本人が考える“品質”とは?
日本の製造業やIT業界において、“品質”とは単なる動作保証だけでなく、
期待以上の完成度や美しさ、気配りの行き届いた設計まで含まれる概念です。
よくある日本的な“品質観”:
- 完成前にすべてのケースを想定し、バグゼロを目指す
- UI/UXの細部の完成度にこだわる
- 「納期ギリギリでも完璧を目指す」
- ユーザー視点での使いやすさも品質の一部とする
2. ベトナム側の“品質”へのアプローチは?
ベトナムの開発チームでは、
「まずは形にする」「あとで改善する」というリーン開発的な発想が強く見られます。
よくあるベトナム側の傾向:
- 要件が変わる前提で、まずMVP(最小限の動作)を重視
- 品質より納期遵守・スピードを優先
- 完成度より開発者の理解しやすさ・実装の簡潔さ
- ユーザー視点はPMやQAに任せるという分業意識
3. よくある“品質ギャップ”と現場での摩擦
日本側の期待 | ベトナム側の行動 | 発生しやすい問題 |
UIがピクセル単位で整っている | 多少のズレはOK | 「こだわりが足りない」と不満 |
テスト項目網羅済み | 主要パターンだけ確認 | 「チェックが甘い」と感じる |
スペックの裏側も察して対応 | 仕様通りだけを忠実に実装 | 「気が利かない」と誤解される |
4. 埋めるための3つのアプローチ
① 品質定義を共通言語にする
- 「品質とは何か?」をプロジェクト初期で明文化
- UIの粒度/テストの範囲/レビュー観点などをドキュメント化
- 例)「レイアウトのズレは±2pxまで」「機能テスト100%カバレッジ」など
② 品質責任の分担を明確にする
- ベトナム側:仕様遵守と技術的実装の責任
- 日本側:仕様の明確化とユーザー視点の補足
- QAやBrSEが中間レイヤーとして品質の翻訳者になることが重要
③ 品質文化の共有・育成
- 開発後に品質レビューのフィードバックセッションを実施
- 「日本ユーザーが気にするポイント」をナレッジ化し、再利用可能な知識に
- QAを育てるだけでなく、全員が品質を語れるようにする
5. 本当の“Japan Quality”とは何か?
ただ完璧を求めるのではなく、
お客様の期待を超える「気づき」や「おもてなし」こそが、真の品質。
それは一人のエンジニアのこだわりではなく、
プロジェクト全体で設計・共有・実現される文化です。
Rikaiでは、単なる検収通過ではなく、
「日本的な感性に響く品質」を、ベトナムと共につくりあげるチームを育てています。
次回予告:
「なぜ納期が違うと感じるのか? “時間感覚”のズレを乗り越える」
日本人の「余裕を見てのスケジュール」と、ベトナム人の「納期=作業開始時点」の違いを徹底解説!