品質に対する考え方の違いと、その埋め方

2025年4月22日 by
品質に対する考え方の違いと、その埋め方
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〜完璧主義 vs スピード重視、その間にある「品質」の本質〜

1. 日本人が考える“品質”とは?

日本の製造業やIT業界において、“品質”とは単なる動作保証だけでなく、

期待以上の完成度や美しさ、気配りの行き届いた設計まで含まれる概念です。

 よくある日本的な“品質観”:

  • 完成前にすべてのケースを想定し、バグゼロを目指す

  • UI/UXの細部の完成度にこだわる

  • 「納期ギリギリでも完璧を目指す」

  • ユーザー視点での使いやすさも品質の一部とする

2. ベトナム側の“品質”へのアプローチは?

ベトナムの開発チームでは、

「まずは形にする」「あとで改善する」というリーン開発的な発想が強く見られます。

 よくあるベトナム側の傾向:

  • 要件が変わる前提で、まずMVP(最小限の動作)を重視

  • 品質より納期遵守・スピードを優先

  • 完成度より開発者の理解しやすさ・実装の簡潔さ

  • ユーザー視点はPMやQAに任せるという分業意識

3. よくある“品質ギャップ”と現場での摩擦

日本側の期待

ベトナム側の行動

発生しやすい問題

UIがピクセル単位で整っている

多少のズレはOK

「こだわりが足りない」と不満

テスト項目網羅済み

主要パターンだけ確認

「チェックが甘い」と感じる

スペックの裏側も察して対応

仕様通りだけを忠実に実装

「気が利かない」と誤解される

4. 埋めるための3つのアプローチ

 ① 品質定義を共通言語にする

  • 「品質とは何か?」をプロジェクト初期で明文化

  • UIの粒度/テストの範囲/レビュー観点などをドキュメント化

  • 例)「レイアウトのズレは±2pxまで」「機能テスト100%カバレッジ」など

 ② 品質責任の分担を明確にする

  • ベトナム側:仕様遵守と技術的実装の責任

  • 日本側:仕様の明確化とユーザー視点の補足

  • QAやBrSEが中間レイヤーとして品質の翻訳者になることが重要

 ③ 品質文化の共有・育成

  • 開発後に品質レビューのフィードバックセッションを実施

  • 「日本ユーザーが気にするポイント」をナレッジ化し、再利用可能な知識に

  • QAを育てるだけでなく、全員が品質を語れるようにする

5. 本当の“Japan Quality”とは何か?

ただ完璧を求めるのではなく、

お客様の期待を超える「気づき」や「おもてなし」こそが、真の品質。

それは一人のエンジニアのこだわりではなく、

プロジェクト全体で設計・共有・実現される文化です。

Rikaiでは、単なる検収通過ではなく、

「日本的な感性に響く品質」を、ベトナムと共につくりあげるチームを育てています。

次回予告:

「なぜ納期が違うと感じるのか? “時間感覚”のズレを乗り越える」

日本人の「余裕を見てのスケジュール」と、ベトナム人の「納期=作業開始時点」の違いを徹底解説!