― バイタルサインの遠隔監視と現場DXの最前線 ―
高齢化が加速する中、医療や介護の現場では、限られた人材で多くの患者や利用者をケアしなければならない状況が続いています。
そうした背景から、現場の負担を軽減し、より安全で質の高いケアを実現するために注目されているのが「IoTによる遠隔モニタリング」です。
この記事では、医療・介護業界におけるIoT活用の最新トレンドとして、特にニーズの高い「バイタルサインの遠隔監視」の導入事例や技術的背景、導入効果について解説します。
📡 バイタルサインの遠隔監視とは?
「バイタルサイン」とは、体温・血圧・心拍数・呼吸数・SpO₂(血中酸素飽和度)など、生体の基本的な状態を示す数値のことです。
従来、これらの測定は手作業で行われ、以下のような課題がありました。
- 夜間・早朝などの定期巡回の負担
- 測定結果の紙・手書き管理による記録ミス
- 異常の早期発見が難しい
これらの課題を解決するのが、IoTデバイスを使った自動・常時モニタリングの仕組みです。
🩺 活用されているIoTデバイスの例
デバイス種別 | 主な測定内容 | 使用シーン |
ウェアラブルセンサー(腕時計型) | 心拍数・体温・SpO₂など | 高齢者の見守り、病棟での常時計測 |
ベッドセンサー | 呼吸数・心拍・離床検知 | 特養・療養型病棟・精神科 |
スマート体温計 | 体温測定とBluetooth通信 | 発熱管理(感染症対策) |
非接触センサー(カメラ型) | 呼吸・動きの検出 | ICUや感染対策エリア |
いずれもクラウドと連携して、異常があればスタッフのスマホやPCにリアルタイムで通知が届く仕組みです。
💡 現場にもたらす3つの効果
✅ 1. 異常の早期発見と迅速対応
異常値が即座に通知されるため、夜間や少人数体制でも迅速な対応が可能になります。
急変リスクが高い患者への見守りにも非常に効果的です。
✅ 2. スタッフの業務負担を軽減
手作業での巡回や記録業務が減り、本来のケアに集中できる時間が増加します。
特に看護師や介護士の働き方改革にもつながります。
✅ 3. データの一元管理・分析が可能に
すべてのバイタルデータが時系列で記録されるため、体調変化の傾向分析や主治医との情報共有にも役立ちます。
介護記録ソフトや電子カルテとの連携も進んでいます。
📊 活用事例:ある介護施設での導入例
青森県内のある介護付き有料老人ホームでは、10名の要介護高齢者にウェアラブル端末を装着。
スタッフはタブレットでリアルタイムにバイタルを把握でき、以下の効果が得られました:
- 巡回回数を約40%削減
- 夜間の緊急対応回数が2件 → 0件に減少
- 新人スタッフでも状態を把握しやすくなった
現場からは「安心感が高まり、利用者との時間に集中できるようになった」という声も上がっています。
⚠️ 導入時の注意点
IoTを医療・介護の現場に導入する際には、以下の点に注意が必要です。
項目 | 説明 |
電波・通信環境の整備 | 特に鉄筋建物や病室奥ではLoRaやLTE通信が有効な場合も |
個人情報・セキュリティ対策 | 医療情報は厳格な管理が求められるため暗号化必須 |
スタッフのITリテラシー | アプリ操作やトラブル対応の研修が必要 |
利用者・家族の同意取得 | センシティブな情報を扱うため事前説明が重要 |
🤝 RIKAIができること
RIKAIでは、医療・介護現場に向けたIoT導入のコンサルティング・PoC(試験導入)・システム開発まで一貫して支援しています。
- 遠隔モニタリング用クラウドダッシュボードの開発
- 各種センサーとの連携設計
- スマホ通知アプリの開発
- 看護・介護ソフトとの連携支援
現場に寄り添った柔軟な開発・運用体制で、医療とITの橋渡しをサポートします。
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