― レガシー機械にも対応できるセンサーモジュールの活用 ―
製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、注目されているのが工場の「見える化」。
しかしながら、日本国内の中小製造業では、20〜30年前の古い設備(レガシー機械)が現役で稼働しており、最新のIoT化が難しいという課題があります。
そんな中、近年注目されているのが「後付け可能なIoTセンサーモジュール」の活用です。
この記事では、製造現場の「見える化」を実現する方法として、レガシー機械でも対応可能なIoT導入の実践的アプローチを解説します。
🔧 なぜ「見える化」が必要なのか?
以下のような課題を抱えている製造現場は少なくありません。
- 稼働率・停止時間の把握ができない
- 故障の前兆に気づけず、突発停止が多い
- 作業者に頼った属人化された運用
- 手書き日報・ホワイトボードによる管理
こうした課題を解決するのが、IoTによるリアルタイムな稼働データの取得と可視化です。
🧩 レガシー機械にも使えるセンサーモジュールとは?
レガシー機械はPLC(プログラマブルロジックコントローラ)非搭載で、通信ポートすらない場合も多いですが、以下のような「外付け」IoTモジュールで対応できます。
センサー種類 | 取得可能な情報 | 設置方法 |
振動センサー | 稼働/停止の検出、異常振動の兆候 | モーター・本体に貼り付け |
電流センサー | 稼働状態、消費電力 | 電源線にクランプ式で設置 |
マイクロホンセンサー | 異常音の検出 | 機械に近づけて設置 |
照度センサー | 操作ランプのON/OFF | 操作盤付近に設置 |
温度センサー | モーター温度・発熱の監視 | モーターや制御盤に装着 |
これらは機械自体を改造せずに設置可能で、比較的低コストでスモールスタートできます。
📈 IoT導入で実現できる「見える化」とは
以下のような可視化が実現できます。
✅ 稼働時間・停止時間の自動記録
→ 日報不要・稼働率改善
✅ 稼働状況のリアルタイムモニタリング
→ 現場を離れてもタブレットで把握可能
✅ 異常検知・メンテナンス予測
→ 突発停止を未然に防止
✅ 工程ごとの稼働比較
→ 生産性の高いラインと低いラインを定量的に分析
🏭 活用事例:金属加工工場での導入
ある町工場では、20年以上前のフライス盤や旋盤を対象に、振動センサーと電流センサーを後付け。
取得したデータはLoRa経由でクラウドに送信し、ダッシュボードで可視化しました。
- 手書き日報が不要に
- 稼働率の「見える化」により、アイドル時間を30%削減
- 1年以内に投資回収達成
作業員も「自分の作業内容が数字で見えるようになってやる気が出た」と好評です。
🔄 他システムとの連携
IoTで取得した稼働データは、以下のようなシステムと連携することで、さらなる活用が可能です。
連携先 | 効果 |
MES(製造実行システム) | 工程管理・実績データとの統合 |
ERP(基幹業務システム) | 生産計画との整合性向上 |
BIツール(Tableau, Power BI等) | KPI分析・経営判断への活用 |
電子帳票システム | 自動日報作成・ペーパーレス化 |
⚠️ 導入時の注意点
項目 | 説明 |
電波環境 | 工場内は鉄骨やノイズが多く、LoRaなどの導入が有効 |
設置位置 | 振動が取れる場所・異常音が聞こえる位置に設置が必要 |
データ精度 | 機械ごとに動作音や電流値の基準が異なるため、初期調整が重要 |
作業者との連携 | 導入目的とメリットを現場に丁寧に説明し、理解を得ることが定着の鍵 |
🚀 RIKAIのサポート内容
RIKAIでは、レガシー機械向けIoT導入を、以下のように支援しています。
- センサー選定と設置設計(機械に触れずに取り付け可能)
- LoRa/Wi-Fiなどに対応したデータ送信設計
- クラウドでの可視化ダッシュボード開発
- 分析結果を用いた現場改善のサポート
「現場主導で動くIoT」を実現するため、エンジニアだけでなく、現場との対話を重視しています。
製造現場の「見える化」〜後付けIoTで実現するスマートファクトリー