オフショア開発を成功させるためには、メリットとデメリットの両方を知っておかないといけません。
そこで本記事では、オフショア開発のメリット・デメリットや失敗を防ぐ対策について詳しく解説します。
メリットや課題など多方面から理解することで、自信を持ってオフショア開発に取り組めるでしょう。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、システムやアプリの開発、運用や保守といった業務を海外の開発会社へ委託することです。
オフショア開発にはコミュニケーションの難しさや品質低下などの懸念がありますが、人材確保やコスト削減などのメリットもあるため、日本でも広く採用されています。
オフショア先としては、ベトナムやフィリピン、インドなど、アジア諸国が対象になることが一般的です。
オフショア開発について詳しく知りたい方は「【初心者必見】オフショア開発ガイド|メリット・デメリットなども解説」をぜひご覧ください。
※なお、オフショア開発に似た言葉として、ニアショア開発があります。ニアショア開発は、国内の地方都市や時差がない範囲の国外の企業へ委託する手法です。
オフショア開発の4つのメリット
オフショア開発のメリットは以下の通りです。
- 開発コストの削減
- IT人材不足の解消
- 納期の短縮
- 開発体制の強化
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
開発コストの削減
オフショア開発のメリットに、開発コストの削減があります。
経済産業省の「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」によると、IT人材の平均年収は以下の通りです。
国 | 平均年収 |
日本 | 598万円 |
インド | 533万円 |
中国 | 354万円 |
ベトナム | 85万円 |
出典:経済産業省「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」(平成28年) p.34
平均年収が低いということは、人件費が抑えられることにもつながります。日本のエンジニアの平均単価が74〜84万円であるのに対し、ベトナムのエンジニアの平均単価は49万円程度であるため、約2分の1程度に抑えられます。
出典:総務省「調達に関する課題 「IT発注力」の向上について」
システム開発のコストは、エンジニアやプロジェクトマネージャーなどの人件費が大きな割合を占めます。人件費を大幅にカットすることで、他の業務や環境整備などにコストを充てられるようになるでしょう。
IT人材不足の解消
オフショア開発によって、IT人材の不足を補えます。
経済産業省の調査では、国内のIT人材は2019年を境に減少傾向で、2030年には約59万人もの人材不足が発生する見込みです。
また、2016年の予測では、今後市場が拡大すると考えられているビッグデータ・IoT・人工知能を扱えるエンジニアは、2020年で約4.8万人が不足する見込みでした。
しかし海外では、IT人材の育成に力を入れている国もあります。そのため、人材不足の解消を目的として、オフショア開発を進めていくということは、大きなメリットとなります。
納期の短縮
オフショア開発を活用することで、システム開発の納期を短縮できます。
オフショア開発は委託先の人件費が安いため、複数人のエンジニアへ依頼できるようになります。例えば、開発に100時間かかる場合、1人で作業したら100時間かかりますが、10人で作業を分担すれば10時間に短縮できます。
知識や経験が豊富なエンジニアに依頼することで、より効率的に作業が進むため、さらなる時間短縮が期待できます。
開発体制の強化
オフショア開発には、以下の2つの契約方法があります。
- ラボ型:期間と人員を決めて契約する
- 請負型:成果物ごとに契約する
ラボ型を選択すると1年〜数年といった長期間にわたって、海外に専門の開発チームをおくことができます。
一定期間は同じチームに様々な開発を依頼でき、チーム内にノウハウが蓄積するため、契約期間が長いほど品質の高い開発が可能になります。
ラボ型のメリット・デメリット
ラボ型のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・安定したリソース確保ができる ・チームに開発ノウハウを蓄積できる |
デメリット | ・発注量によっては費用対効果が低くなる ・チームの立ち上げに時間がかかる |
ラボ型は長期間の契約になるケースが多いため、その分メンバー選定を慎重に行う必要があり、チームの立ち上げには時間がかかります。
しかし、軌道に乗ってくるとチーム内で作業の効率化が進むため、長期間の開発に向いています。
請負型のメリット・デメリット
請負型のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・開発コストが事前に把握できる ・完成品を納品してもらえる ・発注者の対応工数が削減できる |
デメリット | ・チーム内にノウハウが蓄積されにくい ・追加コストが発生する可能性がある |
請負型は成果物の品質や納期が契約で決められているため、仕様が明確になっている案件や小規模案件などの開発に向いています。
案件ごとに契約するシステムになるため、人材確保やマネジメントが不要になる点が請負型のメリットです。
オフショア開発の3つのデメリットと課題
オフショア開発を成功させるには、以下のデメリットや課題についても理解しておく必要があります。
- コミュニケーションの壁
- 品質管理が難しい
- セキュリティのリスク
それぞれのデメリットと課題について詳しく解説します。
コミュニケーションの壁
オフショア開発は海外に業務を委託するため、言語や文化によるコミュニケーションの壁が課題となります。
日本語を学習しているエンジニアもいますが、細かいニュアンスまで理解するのは難しい場合が多いです。円滑にコミュニケーションを取るためには、国内では暗黙の了解で通じる部分も意識して明確に伝える必要があります。
なお、時差や祝日の違いもコミュニケーションが難しくなる要因となります。例えば5時間時差がある場合、日本時間は17時だとしても、相手は22時になっており終業している、といったことが発生します。
品質管理が難しい
会社や国民性による認識のずれによって品質基準が異なるため、低いクオリティで納品される場合もあります。
仕事への向き合い方も異なる可能性があるため、納期に遅れそうなら残業して完成させるといった日本の考え方は、海外で通用するとは限りません。
また、品質管理の難しさの要因として、デザインに対する感性の違いも挙げられます。日本と海外ではデザインセンスが異なるケースもあり、システムの動作には問題がなくても、見た目の違和感によって修正が必要となる場合があります。
情報漏洩のリスク
オフショア開発の委託先は、個人情報や知的財産などに対するセキュリティ意識が日本の基準とは異なるケースもあります。
情報漏洩のリスクを減らす対策は以下の通りです。
- 作業する専用の部屋を用意し、入退室を管理する
- 作業用のパソコンや必要なツールは日本側で用意する
- インターネット環境へのアクセス制限を行う
オフショア開発の目的がコスト削減の場合、セキュリティ対策に予算を割くのは難しいこともあります。現地のスタッフにセキュリティ対策の重要性を教育し、可能な範囲で環境も整備しましょう。
オフショア開発を失敗させないポイント
オフショア開発を失敗させないためには、以下のポイントを意識する必要があります。
- ブリッジSEを活用
- 要件定義の明確化
- 品質管理体制の確立
- 実績のあるオフショア開発会社を選定
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
オフショア開発の失敗について詳しく知りたい方は「オフショア開発の失敗を防ぐために知っておきたい重要なポイント」をご覧ください。
ブリッジSEを活用
オフショア開発は言語や文化が異なる国へ作業を委託するため、コミュニケーション齟齬が生じやすくなります。齟齬が生じると意思疎通に時間がかかり、品質低下や納期の延期につながる恐れがあります。
コミュニケーションによるロスを防ぐためには、ブリッジSEの活用がおすすめです。
ブリッジSEは日本と委託先の言語や文化の違いを理解しており、意思疎通のサポート役となります。
また、プロジェクトの管理や成果物の品質管理も、ブリッジSEの業務に含まれているため、納期の遅れや成果物の不具合といったトラブルを防げます。
要件定義の明確化
オフショア開発における要件定義とは、システムの機能や性能、メンテナンスのしやすさなどを決定する工程です。要件定義を基に、システム開発が進んでいきます。
要件定義を明確にしておくと、開発チームとの認識齟齬を防ぎ、プロジェクトを円滑に進めやすくなります。
なお、システム開発のために要件定義を委託先と共有する必要があるため「〇〇くらい」といった曖昧な表現や、独自の専門用語がないかなどをチェックしましょう。
品質管理体制の確立
システム開発が問題なく進むよう、品質管理に関する細かいルールを設定し、委託先と共有しておきましょう。ルールに基づいて工程ごとに進捗を確認することで、問題点を早期発見できます。
定期的に進捗確認するためには、ツールを導入するのもおすすめです。各タスクの進捗情報や全体の状況を把握しやすくなるため、進捗確認のコストを削減できます。
問題が見つかった場合は、ミスが繰り返されないよう、具体的な問題点を挙げて分かりやすい言葉でフィードバックしましょう。
実績のあるオフショア開発会社を選定
委託先は自社でも探せますが、実績のあるオフショア開発会社に任せるほうが自社に合う委託先を見つけられる可能性が高いです。
オフショア開発会社を選ぶときは、以下のポイントを確認しましょう。
- 契約形態
- 開発の拠点となっている国
- ブリッジSEの有無
- エンジニアのスキル
- 得意とする領域(アプリ開発、ゲーム開発など)
実績や経験が豊富なオフショア開発会社は成功のためのノウハウを持っているため、品質管理やコミュニケーションなどの問題への対処も安心して任せられます。
オフショア開発会社の詳細については「オフショア開発会社の紹介|リスクを避ける上手な選び方も解説」をご覧ください。
まとめ
オフショア開発には、以下の4つのメリットがあります。
- 開発コストの削減
- IT人材不足の解消
- 納期の短縮
- 開発体制の強化
人材確保やコスト削減などが実現すれば、現状では開発が困難だったプロジェクトも進められるようになります。
ただし、委託先とは言語や文化が違うためコミュニケーションがうまく取れず、納期遅れや納品物のクオリティ低下を招くリスクもあります。
RIKAI株式会社は、ベトナムオフショア開発における豊富な実績があります。また、日本の文化や働き方を理解しているメンバーも多数在籍しております。
IT人材の人件費が抑えられるベトナムでのオフショア開発を実施しているため、コスト削減も実現できます。
オフショア開発のメリットを活かしてプロジェクトを成功させたいと考えている方は、ぜひRIKAI株式会社にお問い合わせください。
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