「タイのオフショア開発の現状は?」
「タイでのオフショア開発は、興味あるけど品質が心配。」
このように感じているIT企業の担当者の方もいるのではないでしょうか。
タイは、インフラが整備されている点や日本人との親和性があることから、近年オフショア開発先として注目されています。
しかし、「品質は大丈夫?」「コミュニケーションは円滑にとれるの?」と不安に思う方もいるでしょう。
そこで本記事では、タイでのオフショア開発のメリット・デメリット、失敗しないための対策などを解説します。
本記事を読めば、タイでのオフショア開発が自社のプロジェクトに最適かどうか、判断できます。
タイのオフショア開発の現状
タイはITインフラが整備されており、親日国という関係性から、オフショア開発先として注目を集めています。
しかし、日本国内のオフショア開発委託先としては、ベトナムやフィリピンよりは人気が少ないのが現状です。
そこで、タイのオフショア開発の現状について、下記を解説します。
- タイについて
- オフショア開発先としてのタイの位置づけ
- タイのIT人材の特徴と傾向
各項目を詳しく解説するので、タイでのオフショア開発に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
タイについて
タイの概要は、下記の通りです。
経済状況 | 2020年の−6.1%から2023年時点で成長率は1.3%まで回復 |
日本との時差 | 2時間 |
面積 | 51万4,000平方キロメートル(日本の約1.4倍) |
人口 | 6,609万人 ※2022年時点 |
首都 | バンコク |
公用語 | タイ語 |
出典:外務省|タイ基礎データ
タイは公用語がタイ語ですが、英語を話す人も多く、国民の94%が仏教徒です。
また、タイは観光地としても有名で、世界中から多くの観光客が訪れます。
そのため、GDPはコロナウイルスの影響で一時的に落ち込みましたが、海外観光客の回復により、近年は再び成長傾向にあります。
オフショア開発先としてのタイの位置づけ
タイは、オフショア開発先として注目されている国のひとつですが、下記のように委託先国別ランキングの上位には入っていません。
順位 | 国 |
1位 | ベトナム |
2位 | フィリピン |
3位 | インド |
4位 | バングラディッシュ |
5位 | 中国・ミャンマー |
6位 | ウクライナ |
出典:オフショア開発とは?意味やメリット、成功の秘訣を解説|オフショア開発.com
タイのIT人材は、システムの開発力よりもデザイン力が高い点に特徴があるため、上流工程のプロジェクトに参加する機会が少ないことが要因として考えられます。
タイのIT人材の特徴については、次項の「タイのIT人材の特徴と傾向」で詳しく解説します。
タイのIT人材の特徴と傾向
タイのIT人材の特徴と傾向は、下記の通りです。
- システム開発よりもデザイン力が高い
- 仏教徒が多く日本人と相性が良い
- 日本語学習者が多い
タイのIT人材はシステム開発よりデザイン力が高いため、ホームページ制作やソーシャルゲームのイラスト制作などで活躍が期待できます。
一方で、ソフトウェア開発やアプリ開発など、組み込み系の開発には向いていない可能性があります。
しかし、オフショア開発先として人気のベトナムやフィリピンと比べて、日本語学習者が多く、コミュニケーションを円滑に進めやすいという点が特徴です。
国別の日本語学習者ランキングは、下記の通りです。
順位 | 国 | 日本語学習者数 |
1位 | 中国 | 1,004,625人 |
2位 | インドネシア | 709,479人 |
3位 | 韓国 | 531,511人 |
4位 | オーストラリア | 405,175人 |
5位 | タイ | 184,962人 |
6位 | ベトナム | 174,521人 |
7位 | 台湾 | 170,159人 |
8位 | アメリカ | 166,905人 |
9位 | フィリピン | 51,530人 |
10位 | マレーシア | 39,247人 |
出典:海外の日本語教育の現状(2018年度 日本語教育機関調査より)p.15
日本語が中等教育機関での第二外国語として位置付けられていることから、若年層を中心に日本語学習者が増えていることが関係しています。
また、2014年度より中等教育機関での日本語教育を支援するために、「日本語パートナーズ派遣事業」が開始されたのも要因と言えます。
出典:外務省|タイ基礎データ
タイでのオフショア開発のメリット
タイでのオフショア開発のメリットは、下記の通りです。
- デザインとクリエイティブ業務が強い
- 安定した通信インフラが整備されている
- 日本との文化的親和性がある
各メリットを詳しく解説します。
デザインとクリエイティブ業務が強い
タイのIT人材は、デザインとクリエイティブ業務に強みを持っている点が特徴です。
タイには、伝統的な工芸品や美しい寺院などがあります。 そのため、美的センスが高い国民が多く、優秀なデザイナーが多く育っています。
タイでのオフショア開発なら、システム開発だけでなく、ホームページのデザインやグラフィックデザインなど、クリエイティブなプロジェクトも依頼可能です。
安定した通信インフラが整備されている
安定した通信インフラが整備されている点も、タイでのオフショア開発のメリットです。
タイでは「デジタル経済社会省」を中心に、国策としてインフラの整備を強化しています。
通信環境が整っていれば、コミュニケーションやデータのやり取りがスムーズに行えます。
日本との文化的親和性がある
タイ人は、日本との文化的親和性があると言われています。
タイ人の性格は比較的おとなしく、仏教を信仰している人が多いことから、日本人と価値観が似ています。
また、仏教の影響もあり、タイ人は礼儀正しく、協調性を重んじる文化が根付いています。
そのため、円滑にコミュニケーションをとりながら、スムーズにプロジェクトを進行していけるでしょう。
タイでのオフショア開発のデメリット
タイでのオフショア開発のデメリットは、エンジニアの単価が上昇傾向である点です。
こちらは、政情が安定してきたことで景気が回復傾向にあり、相対的に人件費が上がったことが要因となっています。
また、IT人材の需要に対して供給が追いついておらず、人手不足も影響している状況です。
そのため、コスト面でのメリットは以前ほど大きくないと言えます。
タイのオフショア開発会社の選び方
タイのオフショア開発会社の選び方は、下記の通りです。
- 技術力と実績
- コミュニケーション能力
タイのオフショア開発会社を選ぶ際に考慮する点について、詳しく解説します。
技術力と実績
タイのオフショア開発会社を選ぶ際は、まず技術力と実績を確認することが重要です。
過去のプロジェクト事例や、扱っているプログラミング言語、開発環境などを詳しく調べましょう。
例えば、金融系のシステム開発を専門とする会社であれば、セキュリティ対策に関する実績が豊富であるかなどを確認することをおすすめします。
また、クライアントからの評価や口コミも参考にすると良いでしょう。
コミュニケーション能力
技術力と実績だけでなく、コミュニケーション能力もオフショア開発会社を選ぶ際に重要なポイントです。
オフショア開発では、円滑なコミュニケーションがプロジェクトの成功を左右します。
コミュニケーションが円滑にとれない場合、齟齬や誤解を招く可能性があります。
具体的には、チャットやオンラインMTGツール、ドキュメントの共有など、円滑なコミュニケーションがとれる体制が整っているかを確認しましょう。
コミュニケーション能力が高いオフショア開発会社を選ぶことで、開発の品質向上やコスト削減につながります。
オフショア開発で失敗しないための対策
オフショア開発で失敗しないための対策は、下記の通りです。
- こまめに進捗確認をする
- 事前の仕様書作成は細かく決める
- 担当のPMを決めて対応する
各対策について、詳しく解説します。
こまめに進捗確認をする
オフショア開発で失敗しないためには、こまめに進捗を確認することが大切です。
チャットやオンラインMTGツールなどを活用し、定期的に報告・連絡・相談を徹底しましょう。
特に、開発の初期段階や、納期が迫っている時期は、より頻繁な確認が必要です。
定期的に進捗を確認することで、問題点の早期発見や品質の向上につながります。
事前の仕様書作成は細かく決める
事前の仕様書作成を細かく決めておくことも、オフショア開発で失敗しないためには大切です。
機能要件、非機能要件、画面設計、データ構造、スケジュール、予算など、開発に必要な全ての要素を詳細かつ具体的に決めておきましょう。
可能な限り数値や図などを用いて作成し、曖昧な表現を避けることも重要です。
仕様書が曖昧なまま開発を進めると、開発の遅延や品質の低下・追加コストなど、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
担当のPMを決めて対応する
オフショア開発で失敗しないための対策として、担当のPMを決めてプロジェクトを進行するのもおすすめです。
プロジェクトの途中で担当者が何度も変わると、意思疎通がとりにくく、進行の妨げになります。
例えば、情報の伝達が遅れたり、誤解が生じたりしやすくなります。
そのため、オフショア開発でプロジェクトを進める際は、専任のPMを配置しましょう。
まとめ
タイでのオフショア開発は、安定した通信インフラが整備されていたり、日本との文化的親和性があったりなど、さまざまなメリットがあります。
一方で、エンジニアの単価が上昇傾向にあり、コスト面でお得感を感じられないというデメリットもあります。
タイでのオフショア開発を成功させるためには、下記の対策が必要です。
- こまめに進捗確認をする
- 事前の仕様書作成は細かく決める
- 担当のPMを決めて対応する
なお、オフショア開発において、タイが注目を集めているのは事実ですが、最も選ばれている委託国は「ベトナム」です。
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