「人材不足で開発が遅れている」
「コスト削減したいけど、品質が心配」
このような悩みを抱えているIT企業の担当者もいるのではないでしょうか?
フィリピンオフショア開発は、コストを抑えながら開発を進めたいと考えている企業にとって魅力的な選択肢の1つです。
しかし、品質管理やコミュニケーションなど、注意すべき点も少なくありません。
そこで今回は、フィリピンオフショア開発のメリット・デメリット、そして成功させるための具体的なステップを解説します。
本記事を読めば、フィリピンオフショア開発のメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えられるでしょう。
フィリピンオフショア開発とは?
フィリピンオフショア開発とは、日本の企業がシステム開発やソフトウェア開発などのIT関連業務を、フィリピンのIT企業や開発者に委託することを指します。
フィリピンは日本企業が選ぶオフショア開発先として、ベトナムに次ぐ第2位の人気国です。
こちらではフィリピンについて以下2点を解説します。
- フィリピンについて
- フィリピンIT産業の現状
オフショア開発について詳しく知りたい方は「【初心者必見】オフショア開発ガイド|メリット・デメリットなども解説」をご覧ください。
フィリピンについて
フィリピンは東南アジアに位置し、面積は約30万平方キロメートル、人口は約1億1,000万人の国です。
首都はマニラで、公用語はフィリピン語と英語です。
フィリピンの名目GDPは、以下表の通り年々上昇しており、経済成長が続いています。
年度 | 名目GDP(億米ドル) |
2012年 | 2,619 |
2013年 | 2,839 |
2014年 | 2,975 |
2015年 | 3,064 |
2016年 | 3,186 |
2017年 | 3,285 |
2018年 | 3,468 |
2019年 | 3,768 |
2020年 | 3,615 |
2021年 | 3,936 |
日本はフィリピンに対する最大の援助供与国であるため、両国の経済協力関係は極めて良好と言えるでしょう。
フィリピンIT産業の現状
フィリピンのIT産業は急速に発展しており、特にビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業が盛んです。
BPO産業を含むサービス業は、フィリピンのGDPの約6割を占めており、多くの国際企業がフィリピンをオフショア開発の拠点として利用しています。
特にIT分野では、英語力が高く、コストパフォーマンスも良いことから、世界中の企業から注目されています。
フィリピンオフショア開発の単価
フィリピンオフショア開発の単価は、開発者のスキルレベルや経験によって異なりますが、下記の価格が相場です。
フィリピン | 人月単月(万円) |
プログラマー | 35.83 |
シニアエンジニア | 53.33 |
ブリッジSE | 81.25 |
PM | 70.83 |
引用:『オフショア開発の一般化』について|「オフショア開発白書(2023年版)」から読み解く
仮に日本のシステムエンジニアに開発を依頼した場合の相場は80万円前後ですので、フィリピンでのオフショア開発は、大幅にコスト削減につながります。(参考:総務省「調達に関する課題 「IT発注力」の向上について」p.14)
ただし、上記の単価は目安であり、実際はプロジェクトの内容や規模、開発期間などによって変動します。
フィリピンオフショア開発のメリット
フィリピンオフショア開発のメリットは、下記の2つです。
- 開発のコスト削減
- 英語でのコミュニケーションがとりやすい
次項で各メリットについて解説します。
開発のコスト削減
フィリピンでのオフショア開発は、人件費が日本よりも低いため、日本国内での開発と比較して、大幅なコスト削減が期待できます。
特に、エンジニアの採用や育成にかかる費用を削減できるため、開発プロジェクト全体の費用を抑えられます。
また、オフィススペースやインフラ整備にかかる費用も抑えられるため、間接的なコスト削減にもつながるのです。
英語でのコミュニケーションがとりやすい
フィリピンは英語が公用語の一つです。オフショア開発会社と英語でコミュニケーションがとれるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 優秀なエンジニアを採用できる
- ブリッジSEに頼らなくても開発を進められる
- 品質向上が期待できる
日本語よりも英語を話せるエンジニアのほうが多いため、依頼できる人材の幅が広がります。
英語でのコミュニケーションがとれることで、開発の進行がスムーズになる、品質向上につながるといった点がフィリピンでオフショア開発を行うメリットです。
フィリピンオフショア開発のデメリット
フィリピンオフショア開発のデメリットは、下記の2つです。
- 品質管理のリスク
- 日本語コミュニケーションは難しい
次項で各デメリットについて解説します。
品質管理のリスク
フィリピンでの開発は、言語や文化、価値観による違いから、要件の認識や品質管理の基準に齟齬が生まれやすく、品質管理が難しいという課題があります。
品質管理のリスクを軽減するためには、定期的にコミュニケーションをとることや、品質基準を明確に定めておくことが重要です。
例えば、ZoomやMicrosoft Teamsといったコミュニケーションツールを活用することが有効です。
リアルタイムでの情報共有が可能になることで、認識の齟齬を防ぎ高品質な開発につながります。
日本語コミュニケーションは難しい
順位 | 国/地域 | 日本語学習者数 |
1 | 中国 | 1,004,625人 |
2 | インドネシア | 709,479人 |
3 | 韓国 | 531,511人 |
4 | オーストラリア | 405,175人 |
5 | タイ | 184,962人 |
6 | ベトナム | 174,521人 |
7 | 台湾 | 170,159人 |
8 | アメリカ | 166,905人 |
9 | フィリピン | 51,530人 |
10 | マレーシア | 39,247人 |
出典:海外の日本語教育の現状(2018年度 日本語教育機関調査より)p.15
上の表は、2018年度 日本語教育機関調査より発表されている海外の日本語教育の現状をまとめたデータです。フィリピンは日本語学習者数で世界第9位ですが、オフショア開発先として人気の他の東南アジア諸国と比較すると少ない状況と言えます。
そのため、英語を中心としたコミュニケーションが多くなるでしょう。
日本語でのコミュニケーションが必要な場合は、日本語学習者がフィリピンよりも多いベトナムでのオフショア開発を検討するのも1つの方法です。
ベトナムオフショア開発について知りたい方は、「ベトナムオフショア開発とは?失敗しないための必要知識を紹介」をご覧ください。
フィリピンオフショア開発の進め方
フィリピンオフショア開発の進め方は、下記の通りです。
- STEP1:オフショア会社の選定
- STEP2:予算の相談
- STEP3:見積もりの作成
- STEP4:契約・開発開始
次項で各ステップについて詳しく解説します。
STEP1:オフショア会社の選定
オフショア開発を成功させるためには、信頼できるパートナーを選定することが重要です。
まずは、依頼したい業種の実績を細かく調べましょう。
特に、過去に同様のプロジェクトを経験しているか、成功させた案件の規模などを確認します。
また、実際に担当者とコミュニケーションをとり、会社の雰囲気や対応のスピード感などを把握するのも重要です。
スムーズなコミュニケーションがとれるか、何か問題が発生した場合に迅速に対応してくれるかが、プロジェクトの成功を大きく左右します。
STEP2:予算の相談
オフショア開発会社を選定したら、予算を相談します。
オフショア開発にかかる費用は会社によって異なるため、複数のオフショア開発会社から見積もりを取得して検討しましょう。
また、オフショア開発の予算は、開発内容や規模、スケジュールなどによっても金額が異なります。
あらかじめ社内で簡易的な要件をまとめたうえで、見積もりを取得した会社に具体的に相談を行うことをおすすめします。
STEP3:見積もりの作成
正式な見積もり作成の段階では、より具体的な要望を伝え、要件定義書を作成しましょう。
開発するシステムの機能やデザイン・納期などを詳細に記載することで、より正確な見積もりを得られます。
オフショア開発会社から提案された内容に対して、技術的な観点からのフィードバックや、より効率的な開発方法などが提案される場合もあります。
これらの意見を参考に最終的な仕様を決定して、合意形成しましょう。
STEP4:契約・開発開始
見積もり内容に合意したら、契約書を取り交わし、開発プロジェクトを開始します。
契約書には、開発内容やスケジュール・費用など、重要な事項が明記されているため、必ず内容を確認し、不明な点は質問することをおすすめします。
契約締結後も、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて修正を加えていくことが重要です。
まとめ
フィリピンでのオフショア開発は、日本国内での開発に比べて大幅なコスト削減が可能です。
また、フィリピンは英語が公用語の1つであり、コミュニケーションがとりやすいことも大きな利点と言えます。
しかし、品質管理のリスクや日本語でのコミュニケーションの難しさも考慮する必要があります。
そのため、日本語を話せる人がフィリピンより多く、人件費も安いベトナムでのオフショア開発を検討するのもよいでしょう。
RIKAI株式会社では、ベトナムにおいて、高品質なオフショア開発サービスを提供しています。
500件以上のシステムやアプリ開発の実績があり、日本語対応可能なエンジニアの選定も可能です。
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